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詩『唐船にのって:Sailing On The Junk』

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    甲板のうへを幾羽ものとりがゆきかう
    あおぞら - あおいうみ - まっしろな帆 手札にあるのは常套句ばかり
    みあげるわたしとはべつに もうひとつの視界がひろがる

    陽をうけて帆先をこちらにむけてにらむそこから逃れるように
    おおきくたかく そしてゆっくりとまわりこむ
    なみにゆれるおおきな全貌をましたにとらえ
    そして逆光のなかに船尾をとらえる
    しずみゆく陽はひろがる帆影にあって、みることもできない

    そしてわたしはあの娘にささやく
    秘密の匣のなかとはおおちがいだろう、と

    航海はこの先、ずっと平坦できっと退屈なものにちがいない
    だが、それでいいのだ
    みなみのくにの闘技場
    そこではじめて物語がはじまる
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    詩『いえのなかにある人形:For The House A Doll』

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      ずっとなにもかわらずによどんでいる
      それがここを支配している
      ふえることもないかわりに、なくなりはけしてしない
      そして、だれもきづかない
      そうやって、そこでくらしている
      そして、ふとおもう
      このそとにはいったいなにがあるのだろう、と
      これからさきいったいなにがおこるのだろう、と
      だがじっさいはいたずらにときがすぎていくだけだ
      ゆめはみることができる
      しかし、ここでのくらしとさほどかわらない
      ひがのぼりひがおちる よるにねむればあさにおきる
      時間は残酷だ
      かがみをみるまでもなく、かくじつにとしおいていく 嗚呼
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      詩『逃避行:Escaping From ... 』

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        わたしをのせた列車ははしりつづけている
        いま、なすべきはそれを停め、ここからおりてしまうことだ
        選択肢はそれしかない
        そしていく
        そしてはしる
        そしてそこへとむかう
        身の危険はあるだろう 悪漢におそわれるやもしれぬ
        やすめる場所もない くうにくえないときもつづく
        服はやぶれ けがをしないともかぎらない
        みちにまよい 所持金はわずかだ
        いまあるもの いま保障されている一切はきっとうしなわれる
        だがそこへとむかうしかない 骰子はとっくにとうじられたのだ
        しかも むくわれるともかぎらない たとえそこにたどりついたとしても

        わたしをのせた列車はまだはしりつづけている
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        詩『いきどまり:At A Blind Alley』

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          みちはひらけているのだ、じつは
          だが、あともどりはできない
          陽がさしていれば、けっしてそうとはかんがえない
          むしろ、よろこびいさんですすむ
          茫洋とした、うすくらがり そして躊躇する
          絶望とよぶにはほどとおく 不安とよぶほどさきばしるものもない
          ここまできた ここまできてしまった そして、そのさきへとすすむのか
          あのときにはけっしておもいもよらない感情ばかりがわきおこる
          櫓をうしなった舟のうえのほうがまだきらくなのかもしれない
          とがめるものもこぶするものも ここにはいない
          わたしがひとり
          あたりまえのその事実こそが ひるませる
          そうして、ここでずっとまっている
          そう、さっきからずっと
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          詩『越境:Crossing The Border』

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            1羽の蝶がとんでいく
            ねそべるわたしのあたまのうえを
            そらとくもとを背景にして

            視線のおよぶかぎり
            かれもしくはかの女のゆくえをおう

            あのころならば身をおこしてどこまでもついていっただろう
            一瞥が昂奮をよびおこし期待となって冒険への危惧を忘却させる

            みえるかぎり 頸のうごくかぎりが限界だ
            でも それでいい

            やまを うみをこえて 蝶がとぶ
            そうしんじていられるのだから
            つきなみなへいぼんな 現実とやらを忘却したいのだから

            だから蝶がゆく 蝶だけがゆく
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            詩『車窓 〜雨〜:From A Car Widow, Rain』

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              そのひとはあせっている これからさきのことを
              今夜のことを
              そとはうすぐらく
              そして、みちはこんでいる

              きこえるのはウインカーのおと ワイパーのおとだけだ
              まどをたたくおとは こころのなかだけにひびいている

              傘はある 傘はあるのだ

              おもいえがいていたたのしみはすこしづつ放棄されていく
              そして代案ばかりをかんがえている
              まだましなのかもしれない

              ようやくに、まえへとすすみだす すこしづつ すこしづつ
              結露をぬぐうと きいろい衣服がみな うつむいている
              そして、ゆっくりとうしろへとながれていく
              そのひとのかたのにがすこしだけおりる
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              詩『しゃしん: A Photo』

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                いちたすいちは にぃ
                そういってとった

                整理していた遺品のひとつ その1枚にわたしがいる
                かつてのわたし そうなのかもしれない
                なぜって そこにいっしょにうつるひとびととにはもうずっとあっていない
                そんなときが以前あった 証拠品の役割だけをおびている

                去来するもの
                それをゆるしてはならない
                それをみとめてはならない
                かたくななわたしは わたしにそうつげる

                そうしてもとへとかえす
                だってそのひとはもういないのだから
                だからわたしも(当時のわたしも)
                いないほうがいいのだ
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                詩『叱られて:Be Scolded』

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                  なく
                  かなしいから ではない こわいから ではない
                  それをしたのは わたしだ それをしなかったのは わたしだ
                  そして そのひとにしかられる ほかのひとにもしかられる
                  わたしにあるのは くやしい そのひとことだ それしかない
                  くやしさが くやしさだけをうみ そしてなく それがひたすらくりかえされる
                  しかられたそのことも しかったそのひとも そしてそのきっかけになったことも すっかりとわすれて
                  わたしがわたしをみとめられなくなったそのときを
                  わたしがわたしをしんじられなくなったそのときを
                  それにきづかされて なく
                  しかられるのは そのほんのきっかけにすぎない
                  だからだれもうらんでいない だからきっとまたおなじことをしでかすだろう
                  だが なくのはさいしょのそのときだけだ それでいい
                  それがわたしなのだ そうしてしまうのがわたしなのだ そこからはじめよう それしかない
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                  詩『夕陽のなかを: Riding On Under The Sunset』

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                    詩『ありがためいわく:To Overdo It』

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