詩『をくれげ:Her Stray Hair』
2018.01.07 Sunday
うつむきかげんのそのひとのえりあしに
ゆれる電車のつりかわをにぎるそのひとの
みえない表情のかわりにみえるのは
ほそくてながいくろい一条だった
それがそのひとのすべてをぼくにおしえてくれるようで
それがそのひとのそれいがいをぼくにこばんでいるようで
のるひとのすくないその車輌のゆれるつりかわのような
そんなこころもちをいだかせるのであった
そのひとよりもさきにおりる駅がくるならば
ぐるりととおりすぎるそのときに
そのひとの真意をしりえただろうか
おおきなおとをたてて電車はみぎへとかたむく
さっきまでそのひとのにぎっていたつりかわをながめながら
ぼくは終着駅までひとり その車輌にすわっているのだった
ゆれる電車のつりかわをにぎるそのひとの
みえない表情のかわりにみえるのは
ほそくてながいくろい一条だった
それがそのひとのすべてをぼくにおしえてくれるようで
それがそのひとのそれいがいをぼくにこばんでいるようで
のるひとのすくないその車輌のゆれるつりかわのような
そんなこころもちをいだかせるのであった
そのひとよりもさきにおりる駅がくるならば
ぐるりととおりすぎるそのときに
そのひとの真意をしりえただろうか
おおきなおとをたてて電車はみぎへとかたむく
さっきまでそのひとのにぎっていたつりかわをながめながら
ぼくは終着駅までひとり その車輌にすわっているのだった