『部屋』 by バルテュス
2018.10.13 Saturday
それまで闇にとざされていたそこに、不意に外部から陽光がさしこむ。少女が暗幕をあけはなったからだ。もしもそこに吸血鬼がいるのならば一挙に一塊の灰燼に帰すに違いない。
しかし、そこにあるのは、椅子のうえにあおむけによこたわる少女の肉体だ。おさない肉体は陽をうけて、しろくうつくしく輝いている。
いきているのか、しんでいるのか、それとも、ねむっているのか。
その判断をくだすための材料はいまだなく、あざやかな血潮も鋭利な凶器も弾痕も、そこにはみいだせないのである。
しかし、そこにあるのは、椅子のうえにあおむけによこたわる少女の肉体だ。おさない肉体は陽をうけて、しろくうつくしく輝いている。
いきているのか、しんでいるのか、それとも、ねむっているのか。
その判断をくだすための材料はいまだなく、あざやかな血潮も鋭利な凶器も弾痕も、そこにはみいだせないのである。
" Escenarios" by Balthus