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『かぐわしき大地』 by ポール・ゴーギャン

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    褐色の肌をした女性が、裸で立っている。彼女の背後では、濃密な緑が樹々を彩っている。その緑の中に、彼女の裸体は、眩しく浮かび上がる。彼女は、やや困惑した表情を魅せながらも、まっすぐに視線をこちらに投げかけている。何も隠さない。何も覆わない。彼女の足許から真直ぐに伸びた黄色い花を手折ろうとしたその瞬間、深紅の翼をもったその動物が、いずれとも知れず舞い降りて、彼女と観る者の交歓を引き裂こうとする。


    作品名:かぐわしき大地
        Te Nave Nave Fenua (Terre delicieuse)
    画 家:ポール・ゴーギャン
        Paul Gauguin
    美術館:大原美術館岡山県倉敷市
        Ohara Museum Of Art, Kurashiki, Okayama, Japan


    嫌な絵です。どこが?と問われても、その嫌さを具体的に説明する術がないので、その嫌さが、ますますつのってしまいます。

    描かれた女性のその裸体は、どこかいびつで不自然なポージングをしています。西洋美術の伝統的な美 / History Of Nudityから、随分とかけ離れたものに観えます。
    もちろん、ここで描かれている女性は、タヒチ / Tahitiの女性で、その土地の美の基準から言えば、申し分のない美しさかもしれません。

    ぷるんとした小粒の胸も、骨太で、にも関わらずに、充分に長い四肢も、ゆるやかな曲線を描く黒髪も、そして彼女の全身を覆う黒い皮膚も。
    でも、何故だか、わたしにはちぐはぐでアンバランスな、落ち着きのない、ナイーヴな肢体に観えてしまうのです。あんなにも大きな脚で、すっくと大地の上に立っているのに。

    それは、彼女の右前方に舞い降りた、動物のせいなのでしょうか。暗黒の四肢に深紅の翼を拡げたそれは、トビトカゲ / Draco (Flying Lizard)の一種の様に観えます。トビトカゲ / Draco (Flying Lizard)の仲間は、東南アジア / Southeast Asiaが原産だから、この作品が描かれたタヒチ / Tahitiにも、そのトビトカゲ / Draco (Flying Lizard)は、実際にいたのかもしれません。
    そして、視界を遮る深紅の翼に驚いた、その女性が、躯を捩り、顔をしかめた、瞬間の様にも、この作品を観る事は出来ます。もちろん、実際に作画の作業中に、そんな"事件"があったのかもしれません。
    しかし、それならそれで、何故、その瞬間を画家は描いたのでしょうか。

    名前もない黄色い花を手折ろうとした女性の耳許にやってきて、禁じられた行為をそそのかす、暗黒の生物。
    もしも、そんな風にこの作品が観えたとしたら、まるで、旧約聖書創世記 / The First Book Of Moses, Called Genesisに書かれた、あの物語 / Original Sinになってしまいます。

    下に掲載するのは、本作品が描かれた1892年と同年に制作されたジョン・コリア / John Collierの『リリス / Lilith』。
    リリス / Lilithが、神話世界や聖書の世界で果たした役割を考えると、もしかしたら、このふたつの作品は、どこかで通底しているかもしれない。そんな気さえするのです。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 13:10 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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