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『無謀な企て』 by ルネ・マグリット

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    その男は、神妙な面持ちで、その空間に絵筆をおくのです。己のふるう筆のひとぬりひとぬりが、総てを決定するのです。それは美しくもなり、良きものにもなります。それは醜くもなり、愚かものにもなりえてしまうのです。これまで考えもしなかったあらゆる形而上学的なものごとに悩まされています。己のふるう筆の先が描く、思い思いの線の蠢きやら、微妙に輝きを変える色彩のどよめきやらが、それが総てである筈なのに。はじまりもなくおわりもない己の営みが産み出すなにかが、己をとらえてはなさないのです。


    作品名:無謀な企て
        Intentando lo Imposible
    画 家:ルネ・マグリット
        Rene Magritte
    美術館:豊田市美術館愛知県豊田市
        
    Toyota Municipal Museum Of Art, Toyota City, Aichi Prefecture

    あぁ、画家の営みとは、この作品の様なものなのだなぁ、と思います。
    創造とは、無から有を生じせしめる事であり、それはなにもない空間に、自らの手によって、なにかを存在させる行為なのだなぁ、と。
    そして、それは文字通りの『無謀な企て / Intentando lo Imposible』。
    創世記 / Liber Genesis』に書かれている様な、土塊の中から生命を産み出す神の行為にも似た、許されざる営みなのだ。

    と、総てを解った様な顔をして書けるのも、ルネ・マグリット / Rene Magritteの作品の中では、遥かに解りやすい作品だからです。
    あ、訂正しますね。
    解ったと思いやすい作品だからです。

    何故ならば、彼の有名な作品のいくつかは、先ず、作品名からが謎。『大家族 / La grande famille』も『光の帝国 / L'Empire des Lumieres』も『人の子 / Le Fils de l'homme』も、作品そのものに触れる前に、大きな謎の言葉として、わたし達の前に立ちはだかるのです。

    そういう意味では、作品の題名を語る事が作品そのものを語る事にそのまま通じている様にも、思えるのです。

    だから、次の様な文章を読むと、びっくりしてしまうのです。

    「もしこの絵が裸婦だけを描いたものであれば、左手は未完成のまま終わってしまったのだろうなあ、と鑑賞者に想像させるだけで十分なのだが、この絵をややこしくさせてしまったのは腕の続きを描く画家自身が画面の中に入り込んでしまったからだ」(横尾忠則 / Tadanori Yokoo名画 裸婦感応術』より)

    画家が現実世界に想像上の人物を創造させるとういのがわたしの解釈であったのに対し、著者が記しているのは全く逆なのです。まるで、江戸川乱歩 / Rampo Edogawaの『押絵と旅する男 / The Traveler With The Pasted Rag Picture』で起こった事件の様なものとして、解釈されているのです。
    そうすると、著者の解釈に従えば、作品名が顕わすものも、随分と異なるものの様に思えます。

    下に紹介するのはギュスターヴ・クールベ / Gustave Courbetの『画家のアトリエ / Atelier du peinter, Allegorie reelle determinant une phase de sept annees de me vie artistique』。
    画面右側に集う人々は画家の賛同者であり、画面左側に群れる人々は、画家の敵対者だといいます。その中央で画家は、絵筆をふるっているのです。
    ギュスターヴ・クールベ / Gustave Courbetレアリスム / Le realismeの画家であると解釈されていて、また、彼自身も『レアリスム宣言 / Manifeste du realisme』を執筆しています。しかし、だからと言って、この作品にある様な環境の中で実際に、画家が作品を描く訳ではありませんよね。画家の心象風景に他ならない筈です。
    と、いうことは、つまり、....。

    ルネ・マグリット / Rene Magritteはこの『画家のアトリエ / Atelier du peinter, Allegorie reelle determinant une phase de sept annees de me vie artistique』を踏まえて、己の作品を描いたんぢゃあないかなぁと、わたしは思います。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 13:41 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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