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『聖アントニウスの誘惑』 by サルバドール・ダリ

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    夢に出て来てうなされそう ... と、いうか、これは悪夢そのもの。この夢が怖いのは、観るモノに与えられた視点の低さに対して、観なければならないモノどもが凄まじく高いところにいる事だ。ある意味でそれは、高所恐怖症 / Acrophobiaの逆とも言える。
    だから、恐ろしい形相をして前脚を高々と挙げている荒馬よりも、その後ろに従って悠然と歩んでいる象の群の方が、わたしは怖いのだ。
    巨体を支える、針金の様な四肢の、長さと細さがわたしは怖い。
    そして、その怖さに立ち向かうヒトがなぜ、十字架 / Christian Crossでもって対抗しようというのか。己の信仰を試されているのだから、この場合は正しいのだと、あたまの中では解っていても、何故だか、それが腑に落ちない。と、言うか、逆説的に、信仰や宗教が陥る罠を指摘している。
    そんな気もするのです。


    作品名:聖アントニウスの誘惑
        La tentation de Saint-Antoine
    画 家:サルバドール・ダリ
        Salvador Dali
    美術館:ベルギー王立美術館ベルギーブリュッセル
        
    Koninklijke Musea voor Schone Kunsten van Belgie, Brussel, Belgium

    聖アントニウス / Anthony The Greatは3世紀のヒトで、修道院制度 / Abbeyを制定したとされる人物です。彼が、砂漠にひとりこもり修行していたころ、悪魔の誘惑にもめげずにそれに打ち勝ったという伝説があります。この『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』は、古来より画題として何度となく取り上げられて来たものです。

    ここで取り上げるサルバドール・ダリ / Salvador Daliの『聖アントニウスの誘惑 / La tentation de Saint-Antoine』は、1946年に行われたあるコンクールに出品する為に描かれました。
    ギ・ド・モーパッサン / Guy de Maupassantの小説『ベラミ / Bel-ami』の映画化に際し、その小説の中で言及されている『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』を画題とした作品をコンテストで選ぼうというのです。
    映画がクランク・インするまでに90×120 cm程度の作品を完成させるのです。一等賞金2,500ドル、参加者全員に500ドルが支払われます。このコンクールに12人の画家が参加し、一人を除き11作品が期日までに完成します。
    つまり、1946年という年は、『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』をテーマとした大作が11作品も完成した年なのです。
    審査はマルセル・デュシャン / Marcel Duchampらが行い、マックス・エルンスト / Max Ernstの『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』が賞金2,500ドルを獲得します。サルバドール・ダリ / Salvador Daliが描いたこの作品は、落選したのです。

    しかし、当時もそして今も、その審査結果に関しては、疑問や反論が噴出しています。それぞれがそれぞれの立場と審美眼で、己の見解と主張を展開しているので、いつまでたっても結論は出ません。否、結論は既に1946年に出ているのですが、それでは、収まりがつかないのです。

    ちなみに肝心の映画は翌1947年『ベラミの私事 / The Private Affairs Of Bel Ami』(アルバート・リューイン / Albert Lewin監督作品)という題名で公開されましたが、興行的には大失敗となったそうです。

    下に掲載するのはマルティン・ショーンガウアー / Martin Schongauerによる『聖アントニウスの誘惑 / Versuchung des heiligen Antonius』。14801490年頃の銅版画です。
    この作品では聖アントニウス / Anthony The Greatが悪魔達に、よってたかっていいようにされていますが、その際の聖アントニウス / Anthony The Greatの顔が、可愛らしいく観えて仕様がないのです。こまったなぁと、ぼやいている様な迷惑そうなその顔が。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 13:40 * comments(0) * trackbacks(1) * -

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      ダリの描いた悪夢。聖アントニウスが見た幻覚。

      「巨大なものが怖い」の典型は、これでしょ。 巨大観音像の多くはバブル期に多く造られたようだが 視線が、まるで人間界を見下ろしているようで怖い。 たとえ目を閉じている像でも視線を感じる。 ところが同じ巨大像でも、自由の女神には恐怖を感じない。 (実物
      From 瑞希のブログ @ 2011/11/17 7:37 PM
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