<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 短歌:ソノ日ソノ時ガ甦リテ詠メル | main | 背景『切子模様(青)』を使って、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの短編小説『ダイアモンド』をイメージしてみたるいです >>

『海辺の水浴図』 by ジョルジョ・デ・キリコ

0
    思い思いに姿態を曝す裸婦が数名、いずことも知れぬ海辺に佇む。海の泡から産まれたアプロディーテー=ヴィーナス / Aphrodite aka Venusを皮切りに、その画題は伝統的なものなのである。だが何故だか、一抹の居心地の悪さ、観る己の身の置き所のなさを何故だか、実感してしまう。
    それは描かれた作品のせいなのか、それともちらと横目で読み取ってしまった画家の名前のせいなのか。


    作品名:海辺の水浴図
        Bathers On The Beach
    画 家:ジョルジョ・デ・キリコ
        Giorgio de Chirico
    美術館:個人蔵
        Private Collection


    この作品は横尾忠則 / Tadanori Yokooの『名画 裸婦感応術』で初めて知りました。その本の中で、著者自身が「キリコの裸婦像として非常に珍しい作品である」と記している様に、およそジョルジョ・デ・キリコ / Giorgio de Chiricoらしからぬ作品です。

    ジョルジョ・デ・キリコ / Giorgio de Chiricoと言えば『街角の神秘と憂鬱 / Mistero e Malinconia di una Strada』(以前こちらで紹介しました)に代表される様に、形而上絵画派 / Pittura metafisicaのひとり。と、言うよりも画家自身が己の画風を形而上絵画派 / Pittura metafisicaと命名しているんのですが。

    だから、もしかするとこの作品は、画家が己の作風を確立する前の作品、わたし達の視点でいえば、ジョルジョ・デ・キリコ / Giorgio de Chiricoジョルジョ・デ・キリコ / Giorgio de Chiricoになる前の作品かなとも思ってしまいます。

    しかし、実際は、その逆。
    形而上絵画派 / Pittura metafisicaを提唱したのが1917年で、この作品はその後の1934年の作品です。

    なんでもボルゲーゼ美術館 / Galleria Borgheseにあるティツィアーノ・ヴェチェッリオ / Tiziano Vecellioの作品に感化されて1925年、突如、画風を古典主義 / Classicism的なモノへと方向転換を謀るのです(具体的にどの作品かは調べきれなかったのですが、同美術館には例えば『聖愛と俗愛(聖なる愛と俗なる愛) / Amor sacro e Amor profano』があります)。
    本作品はその古典主義 / Classicism的画風の代表的な作品なのです。

    ただ、古典主義 / Classicism的な画風と言われて、確かにその手法に則った画題であり描写であるのですが、何故だか、それを素直に受け入れ難い感情も湧きます。
    彼女達の立ち位置やそのポージングから、どことなく不思議な感慨が産まれるのです。
    それはわたしが、形而上絵画派 / Pittura metafisicaジョルジョ・デ・キリコ / Giorgio de Chirico、つまり、彼のパブリック・イメージに囚われてこの作品を観ているからでしょうか。

    ちなみに画面手前に臥たわる女性は、画家の妻、イザベラ・ファー / Isabella Farとの事です。

    下に掲載するのは同主題の作品、ポール・ギュスターヴ・フィッシャー / Paul Gustave Fischerの『海辺の水浴図 / Bathers On The Beach』です。下の作品の中に顕われる女性達の自然な振舞とそこから産まれるほのかで健康的なエロティシズム。ジョルジョ・デ・キリコ / Giorgio de Chiricoの『海辺の水浴図 / Bathers On The Beach』には、それが欠けているのではないか、そんな気がします。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 10:05 * comments(0) * trackbacks(0) * -

    スポンサーサイト

    0
      スポンサードリンク * - * 10:05 * - * - * -

      comments

      entry your comments









      trackbacks

      このページの先頭へ