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『闘牛に挑む前に:プロスペル・メリメ『カルメン』より』 by アラステア

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    あたかもおんなは己が死に瀕しているかの如くに、身もこころも、そのおとこの前にその総てを投ずる。
    だから、おとこはそのおんなを抱きしめるしかない。それ以外に逃れる術はない。
    おとこに困惑の表情が浮かぶ。それはしかし、おんなの想いも知らないその行為の所以だけではないのだ。
    おとこはいま、これから闘いの場に赴かねばならぬ。そこは己の生き死にを賭ける場なのだ。
    だが、嗚呼、なんということだろう。その前にもうひとつの闘いの場がいま、ここにある。この時この場、おんなを如何にすべきか。
    しかし、おんなの本心は誰もしらない。否、おんな自らも悟ってはいない。
    ただ、あるがままを受け入れ、そしてそれこそが己の勝利であると、知るだけだ。


    作品名:闘牛に挑む前に:プロスペル・メリメ『カルメン』より
        Illustration For Carmen
    画 家:アラステア
         Alastair


    アラステア / Alastair、本名はハンス・ヘニンク・フォン・フォイクト男爵 / Baron Hans Henning Voigtと言います。
    夭折してしまったオーブリー・ビアズリー / Aubrey Beardsleyの後を継ぐ様に顕われ、そのオーブリー・ビアズリー / Aubrey Beardsleyが主な作品を発表していた雑誌『イエロー・ブック / The Yellow Book』を発刊した出版者ジョン・レイン / John Laneに見出されます。
    1914年、ジョン・レイン / John Laneは『アラステアによる43葉の素描集 / Forty-Three Drawings by Alastair』を出版します。
    その中の1葉が本作品です。タイトルにある様に、プロスペル・メリメ / Prosper Merimeeの小説『カルメン / Carmen』にその材を得ています。

    上の文章の"オーブリー・ビアズリー / Aubrey Beardsleyの後を継ぐ様に"という言葉を総て引き受けてしまえる程に、オーブリー・ビアズリー / Aubrey Beardsleyの作品に観られるモノと共通のモノを発見する事が出来ると想います。
    でも、それと同時に、それとは全く異なるモノも同一に発見出来ると想います。

    わたしがこの作品とこの画家を知ったのは、『ユリイカ 臨時増刊 総特集 禁断のエロティシズム』と言うムックです。そのムックで紹介されている画家の代表的な作品が、何頁にも渡る冒頭のカラー口絵にいくつも紹介されていて、その中にありました。
    頁をめくると、突然にこの作品がわたしの眼に飛び込んできたのです。

    それは紅です。薄く塗られたヴェージュの地に、黒々と墨が階調を整え、その上を自由自在に紅が躍っているのです。
    その一瞬、描かれている筈の一組の男女は、一切のかたちを得る事が出来ずに、まるで、ひとつの不気味な軟体生物の様に観えたのでした。
    そして、その軟体生物は、深紅の血を流しながら、今にも、死に絶えそうな面持ちで蠢いているのです。

    下に紹介するのは、小説『カルメン / Carmen』の作者プロスペル・メリメ / Prosper Merimee自らが描いた『カルメンとドン・ホセ / Carmen and Don Jose 1846』です。



    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 11:52 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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