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ばるんが vol.06.

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    なぜあの時、わたしは再び図書館へと彼を誘ったのか、今となってはとっくの昔。その時のわたしの心の動きを想い起こす事は出来ない。
    青空に浮かぶ「くろくて、きょだいな、ふていけいの、ぶよぶよとした」そいつを捜しに行くのならば、あの夜明けの新宿でも良かった筈だ。
    きっと、わたしはばるんがは捜してはいなかった。わたしは、ここに連れて来た彼の心の動きを捜し出そうとしていたのだろう。それが図書館で見つかるとは想ってはいない。忘れ物を想い出す為には、忘れ物に気がついたその場所に戻る必要がある、そんなつまらない思いつきからだろう。
    だから、わたし達はあれから、空や雲の写真集から始まって、気象学の本、天文学の本、SFの評論集に....とにかく空と空に浮かぶ不遜な物体の記述を捜し出そうとやっきになってみた。大きな重い書物をいくつも抱え、己達が確保した机に運んでは次から次へと頁を繰る。これはと想う頁に栞を挟み、コピー機に向かう。
    ー疲れたね。
    ー疲れた。
    ー二人して何やってんだろう?
    ーさぁ?
    この言葉を待っていたかの様に、二人して外気にあたりに出る。荷物は机に置きっぱなし。資料?漁りで強ばった身体と強ばった脳を解放させる為に、キャンパスに出る。その片隅にある桜の樹々の幹に身体をふたつ横たえる。
    ー疲れたね。
    ー疲れた。
    ー二人して何やってんだろう?
    ーさぁ?
    出てくる言葉は同じ。傾いた陽射しが文字どおりわたしの眼に突き刺さる。逆光に遮られて彼の表情を伺う事は今は出来ない。風が出て来た。
    わたしは眼を閉じる。

    それからのお話
    ばるんが vol.07.
    るい rui, the creature 4 =OyO= * works : balloon-god * 01:50 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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