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クロイヒト:シリーズ「電車でGO!」

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    初夏のさわやかな陽射しというよりも、キブンは梅雨の前哨戦。蒸し暑い。午前中から悪心もするし、もしかしたら微熱もあるのかしら? なんとか最低限のお勤めを果たし終えて、あとは帰るばかり。西の空から広がってくる黒い雲から逃げる様に、電車は走る。冷房は充分すぎるほどきいているのに、ねっとりと空気が絡みつく。夕立ちはまだかしら? きょうはさいてーだわ。
    できれば座って終点まで辿り着きたかったのだけれども、この時間の新宿行きの特急では、ないものねだりとほぼ同じ。吊革にしがみつく。携帯メールに夢中の女子高生の塊に、主婦と思しき年輩の女性群。楽器を抱えた若造達に、営業帰りと思しきスーツ姿の二人連れ。”train kept a rollin'”だったり”take the "A" train”だったりするんだろうな、みんなは。さいて−なのはわたしだけかも。
    あれ、また、あの黒いヒトが乗ってるよ?
    そのヒトは、わたしから見て同じ車両の対角線の位置にいます。この暑い中、真っ黒いケープの様なものをまとっています。ご丁寧に、頸には同じ色のマフラーまでしています。こんなに奇妙な服装をしているのに、他の乗客は、興味を示すことはおろか、一瞥すらしません。存在すら気づいていないかの様です。
    随分と離れているのにわたしがそのヒトに気がついたのは、そのヒトの季節はずれの格好もありますが、それよりも、そのヒトが他の乗客達と比べて、ちょうど、頭ひとつ背が高かったからです。
    でも、それ以上に、そのヒトは頭自体がひとまわり、他の人達よりも大きいのです。最初は、ドレッドヘアを束ねているか、その束ねた髪の上にさらにおっきな帽子をかぶっているのかと思いました。
    (そう、わたしは何度か、この電車の中で、そのヒトを見かけているのです。)
    でも、そうぢゃあないんです。そのヒトの頭が大きいのは、束ねた髪の毛でも、おっきな黒い帽子でもないんです。
    はじめてそのヒトに気づいた時は、後ろ姿だと思いました。真っ黒い塊の様な、後頭部に見えたから。でも、よくよく注視してみると、肩の位置や服の皺で、こちらを向いているはずなんです。
    むりやり頸をねじ曲げているのかしら?それとも、身体が不自由で、ああいう体勢になってしまうのかしら?
    でも、そうぢゃあないんです。そのヒトは、たしかに、顔もこちらを向いているのです。
    そうなのです。どう見ても、眼とか鼻とか唇の様な、あるべきはずのものが、ないのです。
    ただ、黒い塊が、ヒトの形をして、そこにあるのです。
    るい rui, the creature 4 =OyO= * diaries : by streetcar a-go-go! * 01:41 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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