<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 短歌:薄明ヲ詠メル | main | 詩『夏の序章:A Prologue In This Summer』 >>

『聖イザベルの施療』 by バルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョ

0
    薄暗い院内に光がさしているのは、そこが陽溜まりだから、というだけではない。
    甲斐甲斐しくも、貧しき人々、恵まれぬ人々の為に尽くしている彼女がそこにいるからだ。
    ひとりの老婆が、彼女に語りかけているのは、自身がこれまでに味わって来た辛苦なのだろうか、それとも、彼女の分け隔てのない救済のこころへの感謝だろうか。
    老婆の言葉に耳を傾ける彼女の顔は慈しみに満ちたものだが、彼女の手は休まる事はない。何故ならば、彼女からの救済を待つ者は絶えず、しかも、今、正に、ひとりの少年が彼女の自らの手によって浄められているからだ。


    作品名:聖イザベルの施療
        Santa Isabel de Hungria curando a los tinosos
    画 家:バルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョ
        Bartolome Esteban Murillo
    美術館:カリダー施療院(カリダード施療院)スペインセビリア
        Hospital de la Caridad, Sevilla, Reino de Espana


    バルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョ / Bartolome Esteban Murilloの作品は、これまでに2作品をこのブログで紹介しています。
    無原罪の御宿り / La Inmaculada Concepcion de los Venerables, o de Soult』(記事はこちら)と『メロンとブドウを食べる子どもたち / Dos niños comiendo melon y uvas』(記事はこちら)です。敢てジャンル分けするのならば、前者が宗教画であり、後者は世俗画となりますが、今回ご紹介する『聖イザベルの施療 / Santa Isabel de Hungria curando a los tinosos』は、ちょうどその両方の特徴を併せ持った作品と言えると想います。

    この作品の登場人物である聖エルジェーベト(エリーザベト・フォン・テューリンゲン) / Isabel de Hungria (Elisabeth von Thuringen)(画面中央で少年の頭を洗っている女性です)は、ハンガリー王国 / Magyar Kiralysagの王女という身分でありながら、その地位を捨てて、貧しい人々、恵まれない人々の救済に、24歳という、その短い生涯を捧げたヒトです。
    彼女には薔薇の奇跡 / Das "Rosenwunder" der Elisabeth von Thuringenを始め、いくつもの奇跡を伝える伝説が遺されており、現在でも彼女への信仰は根強いものがある様です。2007年は、彼女の生誕800年にあたり、彼女の縁の地では、大規模な催し物が行われました。

    この作品は、1662年にミゲル・マニャーラ / Miguel Manaraが設立したカリダー施療院(カリダード施療院) / Hospital de la Caridadの中に掲げられた、慈善をテーマにしたバルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョ / Bartolome Esteban Murilloの連作のうちのひとつです。
    1649年、セビリア / Sevillaではペスト / Pesteの猛威が吹き荒れて人口が半減し、その2年後にはさらなる大飢饉が襲来したといいます。病と死が、至る所にあったのです。
    ミゲル・マニャーラ / Miguel Manaraドン・ファン / Don Juanのモデルと目される人物であって、若い頃は放蕩と蕩尽の限りを尽くしたのですが、妻の死を受けてこころが一転し、浮浪者の収容と不治の病人の救護施設として、この施療院を設けるのです。
    そしてその精神を具象化するかの様に、バルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョ / Bartolome Esteban Murilloに、その施設に掲げる連作を依頼したのです。

    ミゲル・マニャーラ / Miguel Manaraは、バルトロメ・エステバン・ペレス・ムリーリョ / Bartolome Esteban Murilloへの依頼と同時に、ファン・デ・バルデス・レアール / Juan de Valdes Lealに異なる主題の連作を依頼するのですが、もしかしたら、我が国では澁澤龍彦 / Tatsuhiko Shibusawaの紹介によって、そちらの方が有名なのかもしれません。

    下に掲載するのは、マリアンヌ・ストークス /Marianne Stokesによる『窮民のために羊毛を紡ぐ聖エルジェーベト / St. Elizabeth Spinning Wool For The Poor』(邦題はわたしが訳しました)。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 08:59 * comments(0) * trackbacks(0) * -

    スポンサーサイト

    0
      スポンサードリンク * - * 08:59 * - * - * -

      comments

      entry your comments









      trackbacks

      このページの先頭へ