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ばるんが vol.07.

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    ーその少女の兄の様に、戦争が終わっても帰ってこない青年は、主人公達の暮らす村にも何人もいた。帰りを待ちわびる人々や、もう既に帰ってこないと解ってしまった家族は哀しみの日々を送るが、そんなものは時が解決してくれる。なんせ、みんな生きていかなきゃならないからな。
    ーまだ、その村はましな方だった。
    ー略奪、搾取、強姦、殺戮、横領、隠蔽...。
    ー戦時下の生活も大変なものだったが、まだ、少なくともそこには己の政府が存在していたから、最低限の秩序と治安は守られていた。しかし、占領下は違う。占領軍のお仕着せの治安や行政は、誰も従おうとしないし、そもそも占領軍自体が最低の軍隊だった。多くの犯罪は、占領軍自らがなんらかの形でその原因に関与していたという話だ。
    ーでも、まだ、その村はましな方だった。軍事施設があるとは言え、そこは新米少年兵の為の飛行場、軍事的価値も経済的な基盤も殆どない長閑な村だったからね。無能な将校に率いられた100人あまりの小部隊が駐留しているだけだった。
    ーまぁ、つまり、戦争中も戦後占領下も忘れられた、時代に取り残された貧しい村。そこがその映画の舞台さ。

    ーそんな占領下で、主人公もその幼馴染の少女も大きくなっていく。貧しいながらも、親達はなんとかやりくりをして学校に通わせ、彼らもまた授業が終わったら家業の手伝いをする。そして彼らの頭上を例のぷんぷん号が日々、飛び交っている。
    「あれ? 戦争で負けたのに?」と、わたし。
    ーそう、戦争で負けた筈なのにぷんぷん号は飛んでいる。それは、占領軍の間抜けな部隊が、あまりにやる事がないから、徴収したぷんぷん号を警戒飛行と呼んで乗回していたんだ。
    ーだから、少年の夢は、幼い時とあまり変わっていない。ぷんぷん号に乗って少年飛行兵になる事。但し、少年飛行兵になってそして少女のお兄さんの敵討ちをする事と、若干、屈折してはいるけれどもね。
    「そのお兄さんのお話は暗い影だけれども、それが、Sさんの言う"おおぞらへのいふ"なの?」
    ーいや、これはまだほんの始まりさ。"大空への畏怖"どころか"大空への憧憬"と言って良いだろう。口ではお兄さんの敵討ちとは言っているけれども、ぷんぷん号に乗って空を飛ぶ事への憧れの方が絶対的に大きいはずだからな。幼い少年の思い描く夢さ。ぷんぷん号に乗って大空を駆け廻れるのならば、占領軍にも志願しただろう。
    ーまぁ、それも仕様がないよな。戦争ごっこをする場合は、自国の敵であっても戦勝国の役をやりたいよな。その村の子供達だって、間抜けな部隊と解っていても、己達の親や兄弟姉妹を殺した敵であっても、彼らが担う鈍色した銃火器は憧れのものだもんな。
    ーともかく、その映画の前半はその村の四季折々の景観を折り込みながら、幼い恋人達の成長をゆったりと追って行く。緑の木々に、白く点在する村の住居、その上を白い雲が真っ青な空を背景に流れ去る。
    ーそして、その幼い恋人達も成長し、小さな恋人達となった。その矢先に、村に厄病神が現れる。
    るい rui, the creature 4 =OyO= * works : balloon-god * 01:27 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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