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『エンディミオン・ポーター卿と画家(エンディミオン・ポーター卿とヴァン・ダイク)』 by アンソニー・ヴァン・ダイク

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    ふたりの男性がこちらを観ている。
    ひとりは白で、ひとりは黒だ。光と闇と言い換えても良い。
    光が射せば闇が生じ、闇がなければ光の在処は解らない。と、考えてしまうと、両者は完全に対等なのだ。相互補完とも謂えるのかもしれない。
    だが、白い人物の脇に、寄り添う様に立つ黒い人物を観ると、光と闇、その関係は非常に微妙なモノに思えてしまう。


    作品名:エンディミオン・ポーター卿と画家(エンディミオン・ポーター卿とヴァン・ダイク)
        Sir Endymion Porter y Anton van Dyck
    画 家:アンソニー・ヴァン・ダイク
        Anthony van Dyck
    美術館:プラド美術館スペインマドリード
        Museo Nacional del Prado, Madrid, Reino de Espana


    画面向かって左側の人物はエンディミオン・ポーター / Endymion Porterチャールズ1世 / Charles I Of Englandに仕えた法律家にして外交官です。
    その隣、画面向かって右側の人物は、本作品の作者である画家、アンソニー・ヴァン・ダイク / Anthony van Dyckです。
    この作品は、1635年の作とされているので、前者は48歳、後者は36歳です。

    さて、悩ましいのはここに描かれているふたりの関係です。
    画家とそのモデルならば、ふたりは画架を間に相対している筈です。
    それよりもより強固な上下関係、主人と従者、もしくは後援者と画家ならば、ここまで並列的な描き方にはならないと、思います。
    だからと謂って、対等な友人関係と観るには、ふたりの向きと立ち位置が、極めて微妙なモノに観えてきます。

    外交官がやや身体を左側にひらく様にして立っているのは、その場での彼が、リラックス出来る場所ないしはくだけた所作が許される場所にあるからです。
    それに対し、画家は外交官の方に向けた身体はそのままにして、観るモノに視線を投げかけています。彼の関心は、画面を観るモノにはありますが、外交官との関係性はそのまま維持しています。
    だから、画家の所作は、観方によっては、非常に隷属的な態度、卑屈な態度にも観えますし、その一方で、観るモノに対しての、作法と謂うモノは、ちょっと疎かにされている様に観えます。

    この作品に描かれているモノに素直に従えば、作品を観るわたし達よりも、描かれている外交官の方が立場が上で、彼を描いた画家はその間にある、もしくは、観るわたし達よりも観られている外交官を重視している様にも思えます。

    そして、謂うまでもなく、外交官の輝かしい衣服は、画家の黒い服装の照り返しを受けて、さらに輝いて観えます。

    だから、恐らく、この作品は描かれているふたりの為に(友情の証しとか日頃のご愛顧に感謝してとか)、制作されたのではなくて、この作品を観るヒトビトに、このふたりの関係を伝える事が主目的である様に思えます。
    つまり、この作品が描かれた当時、この作品を観る事の出来るヒトビトは、どの様な人物なのかと謂う事と、この作品を観せる事によって、外交官と画家、どちらを利するのか、と謂う事です。

    猶、プラド美術館 / Museo Nacional del Pradoの、(原文である 西文頁は読めないので)この作品を紹介する英文頁を読むと、外交官は画家の後援者でもあると同時に友人であり、画家の英国滞在時には存分な援助を行ったとあります。
    また、この作品は当初、外交官の個人的なコレクションであって、様々なヒトの手を渡って1745年に、エリザベッタ・ファルネーゼ / Isabel de Farnesioの個人コレクションに加わったとあります。それが現在、プラド美術館 / Museo Nacional del Pradoがこの作品を収蔵している謂われです。

    なんか、もっとロマンティックで波瀾万丈なモノを妄想していたのですが …。
    例えば、高度に政治的な密命を受けた外交官が、自身が芸術や文化を愛する上に高名な画家とも親しい間柄であると立証する為に、交渉国の王家にこの作品を献上したとかなんとかかんとか …、とかねぇ。

    下に掲載するのは、ウィリアム・ドブソン / William Dobson描く『エンディミオン・ポーター / Endymion Porter』。16421645頃の作品と謂われているので、外交官の晩年を描いたモノです。こちらの作品はテート・ギャラリー / Tate Galleryに収蔵されています。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 10:26 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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