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『ピガール広場、夜』 by ピエール・ボナール

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    夜の街は煌々と輝き、昼よりも眩しいばかりだ。おんながまたひとり、闇の中から顕われて、ひかりのさす方に吸い寄せられる様に歩いていく。それはおのれをヒロインとして描く掌編の為なのだろうか。
    否、違う。
    主役はあくまでも、この夜に浮かぶひかりだ。その彩りのひとつとして、彼女もまた、与えられた端役を演じているのに過ぎない。


    作品名:ピガール広場、夜
        Place Pigalle la nuit (Place Pigalle At Night)
    画 家:ピエール・ボナール
        Pierre Bonnard
    美術館:イェール大学美術館コネチカット州ニューヘイブン市
        
    Yale University Art Gallary, New Haven, State Of Connecticut

    描かれたピガール広場 / Place Pigalleパリ / Parisにあって、モンマルトル / Montmartreの西南、有数の歓楽街です。あのムーラン・ルージュ / Moulin Rougeもここにあります。
    そんな街が、最も生き生きとする瞬間、夜の帳がおりて、イルミネーションが輝きを放つその時を描いた作品です。

    ですが、この作品が所謂、風景画 / Paysage dans l'artと一線を引いているのは、画面手前に佇む女性の後ろ姿が描かれている事です。
    彼女がそこにいる事により、歓楽街へと向けるべき眼差しとは、ちょっと異なる、別の視線が錯綜すると想うのです。

    あの女性は誰か、ナニモノか。
    彼女はなにを求めてここに来ているのか。
    そして、それから後、彼女はどんな行動をとるのか。

    そんなありとあらゆる詮索がその後ろ姿に投げ掛けられるのではないでしょうか。
    そうしてさらに、決して語る事のない彼女から、その内面や心象を読み取ろうとわたし達は試み始めるのに違いありません。

    でも、決して、明解な回答と謂うモノがわたし達が得られる訳ではありません。わたし達に出来るのは、想像するのみ、その1点です。

    しかし、それによって、わたし達は、単なる絵画の鑑賞者から1歩踏み込んでいるのです。
    わたし達も彼女と同様に、この歓楽街の点描のひとつになっているのに違いありません。

    そう、いつのまにかわたし達も作品の一部、夜のピガール広場 / Place Pigalleに遊ぶ出演者になっているのです。
    だから、きっと、わたし達もまた、誰かにこころの奥底をのぞこうと、視線を投げ掛けられているのに違いないのです。

    下に掲載するのはエドゥアール・レオン・コルテス / Edouard Leon Cortesによる『ピガール広場、冬 / Place Pigalle, Winter』(邦題は拙訳です)。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 09:46 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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