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『十字架降下』 by ロヒール・ファン・デル・ウェイデン

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    凸型の絵画の、その上に突出した部分がそのまま十字架 / Croce cristiana、即ち処刑の場であり、そこで殺された遺骸はその突出した場所から地上へと降ろされている。つまり、容れ物である肉体が、ひとの棲む世界に還ってきたとみる事が出来るのだ。
    そして、そのちからなく歪んだ遺骸をみた母親は、あたかも自らがその身代わりなろうとするかの如くに、同じ様に身体を歪めて、地に倒れ伏す。


    作品名:十字架降下
        El Descendimiento (The Descent From The Cross)
    画 家:ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
        Rogier van der Weyden
    美術館:プラド美術館スペインマドリード
        Museo Nacional del Prado, Madrid, Espana


    画題の『十字架降下 / Descent From The Cross』とは、イエス・キリスト / Iesusゴルゴタの丘 / Calvariae Locus十字架 / Croce cristiana上の磔刑 / Crucifixioとなり、死後、その遺骸を下ろす際の、そこに居合わせたヒトビトの嘆きや悲しみの、その情景を描いたモノです。同じ画題の、ピーテル・パウル・ルーベンス / Peter Paul Rubensの『キリスト降架(十字架降架) / Kruisafneming』はこちらで紹介済みです。

    この作品は、1435年頃の制作と謂れています。
    そして、本作品は現在では上にある様にプラド美術館 / Museo Nacional del Pradoの収蔵作品ですが、本来はノートルダム・フオーリ・レ・ムーラ礼拝堂 / Onze-Lieve-Vrouw-van-Ginderbuiten (Notre-Dame-hors-les-Murs) に献納された作品だそうです。だから、恐らく、その建物のいくつもある調度の要請に応えたかたちで、この凸型の作品が描かれたのだと思います。
    わたしは、この凸型と謂う特殊な形から、レリーフ / Relief かなにか、彫刻物なのかと思っていました。それは、この作品を初めて観た際が、モノクロ写真だったからかもしれません。

    イエス・キリスト / Iesusの遺骸が十字架 / Croce cristiana上から下へと降ろされると同時に、彼の遺骸を受け止めるヒトビトによって、そこから右へと謂う動きが加わります。
    上から下、中央から右へと謂う動きと対応するかの様に、イエス・キリスト / Iesusの母親、聖母マリア / Mariaは気を喪い、失神した身体を支えるヒトビトによって、左へと謂う動きが加わります。
    イエス・キリスト / Iesus聖母マリア / Mariaは身体を歪めていて、ふたつのおおきなS型の身体が、上から下へ、そして右へと左へと別れていく、そんな動きを観る事が出来ると思います。

    画面には全部で10人の男女がひしめいていますが、その10人の殆どが同定されています。
    左から右へ、クロパの妻マリア / Maria di Cleofa福音記者ヨハネ / Ioannes聖母マリア / Maria(気絶している女性)、マリア・サロメ / Salome(気絶している女性を抱えている)、イエス・キリスト / Iesus(遺体)、ニコデモ / Nicodemo(遺体の上半身を抱えている)、召使(十字架 / Croce cristiana上の男)、アリマタヤのヨセフ / Giuseppe di Arimatea、召使、マグダラのマリア / Maria Magdalenaと謂れています。
    尚、ニコデモ / Nicodemoアリマタヤのヨセフ / Giuseppe di Arimateaに関してはその逆の同定をする解釈もあるそうです。

    下に紹介するのはジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ / Giovanni Domenico Tiepoloによる『十字架降下 / El Descendimiento』。1772年の作品で、こちらもプラド美術館 / Museo Nacional del Prado収蔵作品です。
    やはりここでも聖母マリア / Mariaは失神していますが、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン / Rogier van der Weydenの『十字架降下 / El Descendimiento (The Descent From The Cross)』の様な動きやS型の連なりはありません。むしろ、画面手前の聖母マリア / Mariaを静とすれば、画面奥のイエス・キリスト / Iesusは(既に死亡してはいるのですが)動と謂えると思います。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 09:55 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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