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『剰山図』 by 黄公望

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    それは全体であると同時に部分でしかない。と、同時に、部分でしかないのにも関わらずにこれは全体でもある。
    ひとの眼がみきわめられるのはごく僅かなものであって、しかもそこから汲みとれるモノはさらに微々たるモノでしかない。
    だからこそ、これで充分。
    否、それでも我が身にあまる、果てしないモノなのかもしれない。


    作品名:剰山図
        The Remaining Mountain
    画 家:黄公望
        Huang Gongwang
    美術館:浙江省博物館中華人民共和国浙江省
        
    Zhejiang Poivincial Museum, Zhejiang, People's Republic Of China

    本作品は、同じ画家の『富春山居図 / Dwelling In The Fuchun Mountains』を紹介する際に、既にこちらで掲載済みです。
    しかも、本作品が誕生する逸話、正確には『富春山居図 / Dwelling In The Fuchun Mountains』の一部を成す本作品がそこから切り離されて、結果的に独立したひとつの作品として生成する逸話『火殉事件』も、こちらで紹介済みです。

    その『火殉事件』に触れないままに、本作品を紹介するのは流石に難しいので、簡単にここでも紹介します。

    でもその逸話を綴る前にもう一度、上に掲載した本作品をじっくりとご覧いただいた方がいいかもしれません。

    富春山居図 / Dwelling In The Fuchun Mountains』は画家の晩年の作品で、1350年に成立したとされています。
    その後、何人もの所有者の掌を経て、1650年頃にある事件が起きます。
    当時の所有者が自身の臨終の場に於いて『富春山居図 / Dwelling In The Fuchun Mountains』を燃やせと命じます。作品を誰にも渡したくない、作品を死後の世界でも所有していたい、と願ったからです。
    作品は遺言のままに一旦、火中に投ぜられますが甥の判断で拾い上げられ別の作品が燃やされます。
    これを『火殉事件』と謂います。
    その結果、焼けた巻首は切り離され以降、『剰山図 / The Remaining Mountain』と命名されて現在に至ります。

    だから、本来ならば本作品は、おおきな作品のごく一部分でしかありません。
    ですが、『火殉事件』と謂う逸話を知らなければ、本作品は完全に独立したひとつの作品としての世界を築き上げています(知っていてもそうみえる筈ですが、雑念はふつふつと沸いてしまいます)。
    勿論、そういう様にみえる様に、(逸話が事実であるか否かはおいといて)過剰な部分を切り捨てた可能性がない訳ではありません。切り捨てられた部分がどの程度の量なのかは想像の域でしかありません。

    と同時に、それが可能だったのは、大自然の景物をそのまま題材にしてあるからだ、と謂う声も聴こえてきそうです。結局、肉眼で捉えられるのも、ひとつの画面に収められるのも、大自然の極々、一部分でしかないのだから、その焦点の深度が変わったのに過ぎないのだ、とも。

    この辺りに辿り着くと、わたしにはなんだか解らなくなってしまうのです。

    ひとは何故、みたものをそのまま、描こうとするのですか、と。
    しかもそれは誰にも同じ様にみえるものではないですか、と。

    下に掲載するのはアルバート・ビアスタット / Albert Bierstadtによる『ロッキー山脈、ランダーズ・ピーク / Rocky Mountains, "Lander's Peak"』。時代はぐっと下って1863年の作品です。
    同じ画家による、同名の別作品も存在する様ですが、この作品はハーバード大学美術館 / Harvard Art Museumsに収蔵されている方の作品です。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 09:53 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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