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『パルナッソスへ』 by パウル・クレー

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    おおきなあかい陽をうけて、やまがひとつそびえている。そのまえにあるのは橋、もしくはそれが暗示する道。
    やまはおおきく、あたかも目前にあるようだが、実ははるかだ。
    街のまぼろしがみえる。
    いや、もしかすると実際はその逆。
    街のなかにあって、まぼろしのやまをあおぎみているのかもしれない。


    作品名:パルナッソスへ
        Ad Parnassum
    画 家:パウル・クレー
         Paul Klee
    美術館:ベルン美術館スイス連邦ベルン
        
    Kunst Museum Bern, Bern, Schweizerische Eidgenossenschaft

    題名にあるパルナッソス山 / Mount Parnassusとは、ギリシャ共和国 / Hellenic Republicに実際にある山の名前です。
    作品中央上部にある三角形が、それを描いたモノなのでしょうか。

    ただし、パルナッソス山 / Mount Parnassusは実際にある山であると同時に、ギリシャ神話 / Greek Mythologyの世界観によって産まれた山でもあります。
    そこはアポロン / Apollonと、彼にかしずくミューズ(ムーサ) / Musai (Muse)達が棲む場所で、古来より文学や音楽や芸術の発祥の地とされています。

    下に掲載するのは、バチカン宮殿(バチカン美術館) / Palazzi Apostoliciラファエロの間 / Stanze di Raffaelloにある、『パルナッソス山 / Parnaso』。描いたのは勿論、ラファエロ・サンツィオ(ラファエロ・サンティ) / Raffaello Sanzio (Raffaello Santi)です。
    パルナッソス山 / Mount Parnassusは画題として、数多くの画家達に描かれており、そしてその殆どの作品が、アポロン / Apollon達、神々の集う地として描かれています。

    そうやってみると、本作品はあまりにも伝統的な描写からかけ離れたモノです。
    パルナッソス山 / Mount Parnassusに日夜くりひろげられている光景を描くのではなくて、わたし達の視点でパルナッソス山 / Mount Parnassusをのぞんでいるのです。

    しかも、描かれている山の手前には、幾つもの人工物が並んでいる様に描かれている上に、その手前にもなにかが映り込んでいる様にもみえます。
    初めてこの作品を観た際、わたしは、作品を収めた場所の手前にある防護ガラスかなにかのひかりが映り込んでしまったかの様にみえました。
    つまり、山とは別のモノがまるで二重露光 / Double Exposureで撮影されたかの様に描かれているのです。
    しかも、画面を構成しているモザイク片 / Mosaic Tileの様なちいさな四角形の集積(通常の油彩 / Oil Paintingに加えてカゼイン塗料 / Casein Paintをも用いて描いているそうです)がまるで、大都会の夜景の様にもみえるのです。

    だから、神話世界とは遥かに隔たった世界に、わたしはいるのだなぁと思い知らされてしまうのです。

    ところで、一説によると、この作品の題名は、1725年に発表されたヨハン・ヨーゼフ・フックス / Johann Joseph Fuxによる対位法 / Kontrapunktに関する書物『グラドゥス・アド・パルナッスム(パルナッソス山への階梯) / Gradus ad Parnassum』から命名されたと謂います。
    そこから考えを及ぼすと、単純な線と面で構成されたこの作品が目指しているのは、音楽的な調和である、と考える事も出来そうなのですが。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 09:49 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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