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『聖アントニウスの誘惑』 by マックス・エルンスト

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    不気味な湖畔で、ひとりの男性が悪鬼や魔物にさい悩まされている。その苦痛に歪んだ形相をみるにつけ、彼の苦痛や苦難を推し量る事さえも躊躇われる。
    だがしかし、くれないの衣服にうかぶ緑色の肌をみていると、全く異なる妄想が浮かばないでもない。
    あらたに産まれる生命、その誕生の瞬間。
    周囲にたむろしているモノどものなんと悦ばし気な事か。


    作品名:聖アントニウスの誘惑
        The Temptation Of St. Anthony
    画 家:マックス・エルンスト
        Max Ernst
    美術館:
    ヴィルヘルム・レームブルック美術館/ドイツ連邦共和国デュースブルク
        Lehmbruck Museum, Duisburg, Bundesrepublik Deutschland

    1946年の事です。
    ギ・ド・モーパッサン / Guy de Maupassantの小説『ベラミ / Bel-ami』の映画化に際し、その作品内に登場する絵画作品『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』の公募が開催されました。
    映画がクランク・インするまでに90×120 cm程度の作品を完成させるのです。1等賞金2,500ドル、参加者全員に500ドルが支払われます。このコンクールに12人の画家が参加し、1人を除き11作品が期日までに完成します。
    作品の審査にはマルセル・デュシャン / Marcel Duchampらがあたり、その結果、本作品すなわちマックス・エルンスト / Max Ernstの『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』が当選します。

    ギ・ド・モーパッサン / Guy de Maupassantの小説『ベラミ / Bel-ami』の映画化作品『ベラミの私事 / The Private Affairs Of Bel Ami』(アルバート・リューイン / Albert Lewin監督作品)は翌1947年に公開され、本作品もそのワン・シーンを飾った筈です。しかしながら、興行的には完全に失敗に終わり、映画『ベラミの私事 / The Private Affairs Of Bel Ami』(アルバート・リューイン / Albert Lewin監督作品)は完全に忘れ去られたかたちとなっています。

    その一方で、その映画の為に行われた絵画の公募は未だに議論の的となっているのです。

    と、謂う様な文章はサルバドール・ダリ / Salvador Daliの『聖アントニウスの誘惑 / La tentation de Saint-Antoine』をこちらで紹介した際に、既に記述しております。ここまで殆ど、コピー・アンド・ペーストです。

    つまり、サルバドール・ダリ / Salvador Daliの『聖アントニウスの誘惑 / La tentation de Saint-Antoine』は、公募に応募したものの落選してしまったが、絵画作品としては彼の作品こそ当選すべきではなかったのか、と謂う議論があるのです。

    下に掲載するのは、マティアス・グリューネヴァルト / Matthias Grunewaldによる『イーゼンハイム祭壇画 / Retable d'Issenheim』の一部、『聖アントニウスの誘惑 / Tentation de St. Antoine』です。
    本作品とみくらべると、本質的には殆ど変わっていない様に思えます。描かれている悪鬼や怪物は、どちらがどちらの作品に登場しても見劣りもしない程に、共通項が幾つもある様に思えます。
    ただ違うのは、この作品の主人公?である聖アントニウス / Anthony The Greatの描写です。
    マティアス・グリューネヴァルト / Matthias Grunewald作品にあるのが驚きと怖れの表情だとしたら、マックス・エルンスト / Max Ernst作品にはもう少し異なるものを読み取れるのです。
    それは苦しみの向こうにある悦びの様なモノ、聖アントニウス / Anthony The Greatが信仰者である事を今にも放棄して、怪物や魔物の眷属と化してしまいそうな(いや、もう既になってしまっている?)、そんなヴィジョンをみてとれるのです。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 11:19 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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