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ばるんが vol.01.

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    新宿西口を出てまっすぐに、都庁方面へと足早に向かい出す。
    動く歩道の上を軽くバウンドしながら、走ってみる。
    初夏の様な強い陽射しを浴びながら、跳んで行く。
    強いビル風に難儀しながら俯き加減で高層ビル街を抜け出すと、
    やぁ、もう桜の花が満開だ。
    眼前に、ぽっかりと蒼い空間が広がる。
    きみにはみえないかもしれないけれども、あのそらのうえには、くろくて、きょだいな、ふていけいの、ぶよぶよとしたばるんががうかんでいるんだ。

    わたしが彼を失ってから、かれこれ4.5年が経とうとしている。はじめて、彼と言葉を交わしたのは、多分、なにかのオールナイトのクラブ・パーティだったはず。その頃のわたしたちは世紀末やらミレニアムやら、自分達の生活にはまったく無関係な口実を見つけては、夜な夜な浮かれ騒いでいた。なぜって、昼間の生活はお先真っ暗。電車が遅れる理由はたいがいが人が飛び込んだ所為だし、やっと潜り込んだ仕事場を辞めさせられる理由も、わたしの勤務態度ぢゃあなくて親会社が倒産した所為なんだから。

    そのときに、彼とどういう話をしたのか、実は覚えていない。大音量で流れている音楽と、ブラックライトで照らしだされ、どす黒く輝いているグラスに入っているのは、確か赤ワインだった。どっちにしても、こんなところで知り合った人間なんて、こんなところ以外であうはずもないし、こんなところであうたびに同じ会話しかしないんだから。きれいさっぱりと、忘れている方が、お互いにとって好都合ってもんでしょ?
    それでも、こんなところに誘い出されてみんなとつるんで騒いではしゃいで遊び呆けてふと我にかえって、なんとか自分のスペースを確保してゆっくりと自分自身のペースを取り戻そうとしてみる、そんなときに限って、彼はわたしを捜しあててくる。もしかしたら、逆かもしんない。みんなとのから騒ぎに飽きたときに限って、さもつまんなさそうに、彼を捜す、そっちの方が正しいのかな。誘ってくれた彼らには悪いんだけれどもさ。
    そんなときの、彼との会話の殆どはたわいもないもの。好きな音楽好きな映画好きな画家好きな文学好きなトモダチ、すきなものつくし。嫌いな音楽嫌いな映画嫌いな画家嫌いな文学嫌いなトモダチ(のようなもの)、きらいなものつくし。Yes or No.はっきりと答えがでているものやだせるものだけをあげ列ねて行く。(たいていの人たちは、主観的にも客観的にも思考停止しているかの様に、どうでもいいことだけを話題にするけど)。
    あのときもそんなときで、決して特別な夜ぢゃあなかった。イベントをオーガナイズしていたあのこ達は、やっきだったけどね。今夜のための選曲、今夜のためのスペシャルゲスト、今夜のためのおしゃれに、今夜のための非合法なあれ....、みんなして自身の身の丈をほんのちょっと大きく見せようと背伸びをしていた、そんないつもの夜だった。
    そんな彼らにおあいそ笑いしながら、カウンターのすみっこに身体を預ける。そして、そんなタイミングを見計らったかの様に、彼があらわれる。

    [中略:ヴェルベット・アンダーグラウンドの『ローデッド』を聴きながらこの手記?をここまで書いてきたら、泪が出てとまらなくなってしまったよ。]

    パーティがクローズして朝がやってくる。二人してゴミ屑とカラスとドブネズミのセンター街を転がる様に下っていく。そして、夜明けの中央公園にふたりっきり。
    「そんなわけで...。」
    彼は次第次第にあかるくなっていくそらを指差しながら、冒頭の台詞を言った。

    あれからどれだけの昼と夜が過ぎたのだろう。彼はもういない。わたしにもばるんがが見えるのだろうか。蒼い空間をじっとみつめてみる。






    るい rui, the creature 4 =OyO= * works : balloon-god * 14:47 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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