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ばるんが vol.02.

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    これまでのお話



    あの日もこんな日だった。梅雨入り直前の真夏日。莫迦の一つ覚えみたいな挨拶から始まる朝。
    「今日は暑いですね」「今日は暑いですね」「今日は暑いですね」「もう夏ですね」「今日は暑いですね」「こんまま夏になっちゃうといいですね」「もう夏ですね」「今日は暑いですね」「今日は暑いですね」......
    目覚ましが鳴る前に部屋の暑さで目覚める。冷蔵庫から取り出して喉を潤す。身体に纏わりついた寝汗がイヤだけれども、これからまた、悪い夢の続きを観ようかと思う矢先に、携帯メールの着信音が鳴っている。
    「このあいだのことをおぼえているなら、あいませんか?」
    彼だった。

    そしてわたしは彼を待っている。彼の大学のもより駅。都心から一時間弱もかかるから、周りはみんな大学生? 居心地が悪い。みんなが知り合いの中で、わたしだけが赤の他人。間違えて別人の法事に出席している様な、変なキブン。でも、いつもそっかぁ。知り合いのふりしているだけで、決してトモダチぢゃあないもんね。いつもオンナジ、いつもソウ。そう思い込む事にする。だからわたしは大丈夫。

    ほぼ約束の時間どおりに彼が現れる。今日は、大学の図書館で、あるものをわたしに見せてくれると言う。必ずしもそこにしかないというモノではないのだけれども、せっかくだからとか、半ば言い訳じみた説明を聞きながら、大学に向かう小径を登る。勉強に行くというよりピクニックみたいとかなんとか、語尾にハートマークをつけて彼の言い訳につきあってあげる。

    おおきなつくえにおおきないすが一面にならんでいる。図書館の学習室。本やノートが山積みの席もあるし、大きな鞄だけが置かれていて所有者不在の席もあるし、気持ちよくおヒルネしている席もある。壮観。区営の図書館には時々、遊びに行くけれども規模が違うね。やっている事はオンナジだけど。
    なんとか二人分の席を見つけて、先ずは座り心地を確認する。お、気持ちいいぞ。おヒルネには最適。早速、腕を組んでそこに頭を沈め込んだ。頭をあげてにっこりと彼に微笑む。声を出していけないのは、全世界共通の図書館のおヤクソクだから、全ての行為はサイレント・ムーヴィーであります。
    ちょとここで待っててねと、彼が耳打ちするから、わたしは素直にうんってここだけトーキーで言ったんだよ。

    しばらくして、彼が重い大きな画集を持ってきた。にっこり笑って彼が開いたページには、ゴヤの『巨人』が載っていた。






    るい rui, the creature 4 =OyO= * works : balloon-god * 23:53 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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