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『聖アントニウスの誘惑』 by ヒエロニムス・ボス

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    老人がひとり、川辺で膝を抱えている。なにをおもっているのだろう。
    彼が佇むそこは、立ち枯れた巨木の根元で、おそらく雨風も防げまい。
    その彼に去来するものを知ってか知らずか、得体の知れないモノどもはその生を謳歌している。
    そのうちの1匹が老人の裾を引っ張り勧誘しているが、彼のこころはそこにもない。


    作品名:聖アントニウスの誘惑
        Las tentaciones de San Antonio Abad
    画 家:ヒエロニムス・ボス
        Hieronymus Bosch
    美術館:プラド美術館スペイン マドリード
        Museo Nacional del Prado, Madrid, Reino de Espana


    1510年から1515年頃の作品。
    画家は同一の画題をいくつも遺していますが、それらの作品とは趣きがいささか異なります。
    また、この画題は多くの画家が挑んでいますが、それらとも違います(こちらこちらで紹介済み)。

    修行中の聖アントニウス / Anthony The Greatを悪鬼や妖鬼達が、脅したりすかしたりして邪魔をし、そしてその結果、彼を悪徳の仲間へと陥れようとする、と謂うのが、この画題のよくある描写です。
    だから、この画題に挑む画家の殆どは、悪鬼や妖鬼や、彼等の誘惑の所作の描写に全精力を傾けます。つまり、自身の想像力と創造力に挑むのです。

    ですが、本作品はそれらとは異なります。
    この画家ならでは、得体の知れないいきものは画面のそこかしこに顕れていますが、その殆どは聖アントニウス / Anthony The Greatを完全に無視しています。無視しているどころか、彼等自身の生活に忙しい様です。
    この作品では、そんな彼等の喧騒をよそに聖アントニウス / Anthony The Greatはひとり、孤独に耐えているのです。

    まるで、誘惑の正体が孤独であると謂わんばかりに、です。

    下に掲載するのは同じ画家の同一主題『聖アントニウスの誘惑 / As Tentacoes de Santo Antao』。1500年から1505年頃の作品です。
    リスボン国立美術館 / Museu Nacional De Arte Antigaに所蔵されています。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 10:01 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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