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『無題、あるいは静物』 by パウル・クレー

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    黒い背景に、瓶や水差し、花瓶などが、多彩に無秩序に並ぶ。
    夜空だろうか。上部にある、きいろくまるくえがかれたそれは月なのかもしれない。
    そしてその脇にひっそりとちいさな素描 / Dessinがおかれている。


    作品名:無題、あるいは静物
        Ohne Titel (Letztes Stilleben)
    画 家:パウル・クレー
         Paul Klee
    美術館:パウル・クレー・センタースイス連邦ベルン
        
    Zentrum Paul Klee, Bern, Schweizerische Eidgenossenschaft

    1940年の作品。
    ながらく画家の実子フェリックス・クレー / Felix Kleeが所有していた様ですが、現在は上記美術館所蔵となっている様です。

    画家の遺作です。
    そして、この作品を語る画家自身のことばは遺されてはいない様です。

    だからでしょうか。
    そこに描かれているモノは酷く単純なかたちで、しかもとても簡単な色彩であるのにも関わらずに、すさまじく神秘的な面持ちをしている様に思えてしまいます。

    左下隅にある素描 / Dessinは、画家の晩年の連作『天使 / Angels』の中の一点、『いまだ醜い天使 / Engel noch hasslich』の様です。

    ですが、この作品を知ったムック『イメージ生産の技術』(西岡文彦 / Fumihiko Nishioka著 JICC出版局)では、その素描 / Dessinを『天使と格闘するヤコブ / Jacob Wrestling With The Angel』としています。旧約聖書の『旧約聖書 / Vetus Testamentum』の『創世記 / Liber Genesis』その32章 / 32の逸話をモチーフにしたとしているのです。
    『いまだ醜い天使 / Engel noch hasslich』のふたつの眼球を、ふたりの人物の頭部としてみれば、確かにその2者が組み合っている様にも思えます。

    ヒトがヒト以上の存在と互角に闘っている、もしくは、ヒトがヒト以上の存在を凌駕しようとしている。
    イメージ生産の技術』で語られているその説は、異説なのかもしれませんが、わたしには魅力的に思えます。

    そして、その解釈を前提にしてこの作品に向かうと、画家の最期の作品であると謂う事実と呼応して、とても哀しいモノに思えるのです。

    下に掲載するのはオニブ・オルメード / Onib Olmedo(日本語表記はこれで正しいですか)による『無題(静物) / Untitled (Still Life)』。1982年の作品です。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 09:36 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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