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『エロディアス登場』 by オーブリー・ビアズリー

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    おごそかに告げられるのは、その宴の主役である女王。先導する小姓のうしろには威厳と威光が控えている様にも思える。おんな盛りのその胸はさらに磨き上げられ、裳裾を捧げる稚児は、その美しさにこうべをたれるばかりなのであった。


    作品名:エロディアス登場サロメ』より
        Enter Herodias for "Salome"
    画 家:オーブリー・ビアズリー
        Aubrey Beardsley


    1894年の作品。

    オスカー・ワイルド / Oscar Wildeによって仏語で書かれた戯曲『サロメ / Salome』は1893年にパリ / Parisで出版されます。その英訳版の挿絵として描かれた連作『サロメ / Salome』のひとつが本作です。

    描かれている場面は、主人公サロメ / Salomeの母にして、ヘロデ・アンティパス(ヘロデ王) / Herod Antipasの妻、ヘロディアス / Herodiasの登場シーンです。

    ここに描かれた叙景を想定して、戯曲にあたると、ちょっと意外な印象を持ちます。
    と、謂うのはそこにはト書き / Stage Directionsで「ヘロデ、ヘロディアスたちが入って来る。 / Enter Herod, Herodias, And All The Court」とあるだけなのです。
    共にいる筈の、彼女の夫であるヘロデ・アンティパス(ヘロデ王) / Herod Antipasがここには描かれていないのです。

    そして舞台に登場した彼等のうち、彼女の最初の発言は、ヘロデ・アンティパス(ヘロデ王) / Herod Antipasに向けて発せられたこれです。
    あの娘を観てはなりません!いつも観てばかり! / You Must Not Look At Her! You Are Always Looking At Her!

    戯曲に登場する主要人物は4人。
    ヘロデ・アンティパス(ヘロデ王) / Herod Antipasヘロディアス / Herodiasサロメ / Salome、そして牢獄にあるヨカナーン / Jokanaan
    サロメ / Salomeはヘロデ王の実子ではなくてヘロディアス / Herodiasの連れ子。しかもヘロデ・アンティパス(ヘロデ王) / Herod Antipasは義理の娘であるサロメ / Salomeに懸想しています。
    その一方で、ヘロディアス / Herodiasヨカナーン / Jokanaanによってヘロデ・アンティパス(ヘロデ王) / Herod Antipasとの結婚が不義のモノであると糾弾し続けています。しかも、その糾弾の矛先はその娘であるサロメ / Salomeにも向かいます。
    そして、主人公サロメ / Salomeはそれらを知ってか知らずか、いやいや、知っているからこそ、ヨカナーン / Jokanaanに向けて愛憎入り混じった行動を仕掛けるのです。

    そこから先の物語はみなさまが御存知のとおり。
    もしも、これから起こる事件の一切をヘロディアス / Herodiasが操作しているとしたら?
    夫の娘へのふしだらな欲情と、おのれの意の儘にならぬ娘と、そしておのれを攻撃し続ける邪魔者を同時に、亡き者にしよう、と。

    画家のこの作品を観ると、そんな憶測が産まれます。

    下に掲載するのは同じ画家による同じ題名の作品『エロディアス登場 / Enter Herodias』です。
    当初、この作品こそ戯曲の挿画として描かれたのですが、さる事情によって掲載がみおくられ、上の作品となったのです。
    勿論、それはヘロディアス / Herodiasの右に立つ小姓の下腹部の描写によります。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 09:36 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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