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"She's Leaving Home" by The Beatles(『シーズ・リーヴィング・ホーム』 by ザ・ビートルズ)

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    一篇の小説の出だしみたいなので。


    水曜日午前5時、その日はそのようにしてはじまった
    静かに寝室のとびらをとじ
    おもいのたけをつづったてがみをのこし
    ハンカチをにぎりしめてキッチンから階下へとおり
    勝手口のかぎをしずかにあけて
    そとにでた彼女はそこで自由の身となった


    彼女は(あの娘のためにありとあらゆる時間をついやしたのに)
    でてゆく(あの娘のためにすべてをささげてきたのに)
    このいえを(かねでかえるものはなんでもあたえたのに)
    もう何年もたったひとりですごしてきた
    そのいえをでる(それなのにいってしまった)


    母親が部屋着をまとったときはまだ父親は熟睡中だった
    そこにおかれたかきおきをてにとり
    階段のうえでひとりたちつくす
    なきくずれた母親は夫をよんでこうさけぶ
    「あのこがいないの
    こんなことして、魔がさしたのかしら
    いったい、わたしにどうしようというの」


    彼女は(こんなことおもってもみなかった)
    でてゆく(わがみかわいさなんかではなく)
    このいえを(これからさきをおもいやると)
    もう何年もたったひとりですごしてきた
    そのいえをでる(それでもいってしまうのか)


    金曜日午後9時 もう彼女はいえからとおく
    約束の時間をまっている
    自動車販売のおとことあうのを


    彼女は(わたしたちがなにかしでかしたというのか)
    たのしいときを(それに非があるとはきづかなかった)
    すごしている(たのしみとはまさに金ではえがたいものなのだ)
    もう何年もずっと
    いつも否定されていたことがゆるされて(だからでていったのか)


    彼女はでていく
    おげんきで


    レノン = マッカートニー / Lennon = Paul McCartneyの曲で、実際にはポール・マッカートニー / Paul McCartney主導で創られた曲です。
    主題である、家出する女性の、その行動は綴られているのですが、彼女の心情は一切に語られていません。表出するのは、コーラス部でのジョン・レノン / John Lennonの歌唱部分、つまり親達の心象です。
    それは、でていく側である若者達にとっては、自身の体験や感情をそのままこの曲をおもねる事を可能とし、でていかれる側の親達にとっても、つよく訴えかえるモノがある様に思えます(実際にその年齢や立場にならないと解らないんだろうなぁとは思うのですが)。
    そして、訳出を試みるモノとしては、そのジョン・レノン / John Lennonの歌唱部分が難しいのです。この曲の設定から考えるのに、感情的な発話である必要があると思うと。だから、各コーラス部の最期に登場する「バイバイ / Bye Bye」は単純に「さようなら」では駄目だろうなぁと思いますし、「ソウト・オヴ・アワセルブス / Thought Of Ourselves」と「ア・ソウト・フォー・アワセルブス / A Thought For Ourselves」の違いをどう訳しわけるのかと悩んでしまうのです(だから、字義を厳密に解釈されると、誤訳になってしまうかと思います。ご了承願います)。

    from the album "Em Londres" by Roupa Nova

    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : music * 00:00 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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