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『レオポルト・ヴィルヘルム大公のブリュッセルにおける美術品コレクション』 by ダフィット・テニールス (子)

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    ひろくしかもたかい一室にひしめきあっている数々の名画。もしもその場にいる事が出来たとしたら、一体、どんな感興が生まれるのだろうか。
    画中の人物達から漏れるであろう感嘆の声を想像すると同時に、その所有者の誇らしげな息吹もまた、聴こえてくるのであった。


    作品名:レオポルト・ヴィルヘルム大公のブリュッセルにおける美術品コレクション
        El archiduque Leopoldo Guillermo en su galería de pinturas en Bruselas
    画 家:ダフィット・テニールス (子)
        David Teniers de Jonge
    美術館:プラド美術館スペインマドリード
        Museo Nacional del Prado, Madrid, Espana


    1647年から1651年頃の作品。

    わたしが本作品を知る事になった美術評論『プラド美術館の三時間 / Tres horas en el Museo del Prado』(エウヘーニオ・ドールス / Eugenio D'ors1923年初版)では、この作品をたったの一語で評しています。

    「過去と対面している一枚の作品」

    確かに、画中にある名画の数々は、本作品が描かれた当時よりも、過去に描かれた作品群ではあります。
    だけどなぁ、と思ってしまうのです。

    尤も、この評価は、画家のもう一方の作品と対比するかたちで登場した論評です。だから、この一語が作品自体への著者の評価と看做してしまうのは、憚れます。著者はルネサンス美術 / Renaissance Artの幕引きを語るよすがとして本作品を紹介しているのです。

    画中の名画は確かに過去の作品ではありますが、本作品の画題は、勿論、当時の、現在の有様です。

    幾つもの名画が一堂に会している事、これらの作品を蒐集した人物がレオポルト・ヴィルヘルム・フォン・エスターライヒ / Leopold Wilhelm von Osterreichである事、そしてその作品がブリュッセル / Brusselにある事。
    そのひとつひとつの意味を調べていけば、おそらく、いくつもの事実が解る事でしょう。

    例えば、レオポルト・ヴィルヘルム・フォン・エスターライヒ / Leopold Wilhelm von Osterreichのコレクションの一部は現在、オルレアン・コレクション / Orleans Collection美術史美術館 / Kunsthistorisches Museumの収蔵作品となっています。
    これらの名画を描いた画家達がかつて居り、これらの名画を所有した幾人もの人物達が居り、そしてそれらの人々の手を経る事によって、わたし達は現在でも、名画を観る事が出来るのです。

    (ちなみに本作品に描かれた名画のリストはこちらで確認出来ます。)

    ところで、本作品を描いた画家の意中は奈辺にあったのでしょうか。
    本来ならば、レオポルト・ヴィルヘルム・フォン・エスターライヒ / Leopold Wilhelm von Osterreichの蒐集作品を一堂に会させる事によって、レオポルト・ヴィルヘルム・フォン・エスターライヒ / Leopold Wilhelm von Osterreichの権力や財力、そしてさらに謂えば、絵画作品への理解度や見識の高さを顕彰するのが、この作品を描かしめた趣旨なのでしょう。
    ですが、圧倒的な絵画の数々にみおろされている人物達のちいささを思えば、どこかで作品の意図がすり変わってしまった様にも思えます。

    と、謂うのは、同じ画家による狩猟を主題とした作品を発見したからです。
    下にある『大公レオポルド・ヴィルヘルムのアオサギ狩り / Chasse au heron avec l'archiduc Leopold-Guillaume』は1652年から1656年頃の作品。
    本来ならばおおきく描かれてしかるべきレオポルト・ヴィルヘルム・フォン・エスターライヒ / Leopold Wilhelm von Osterreichよりも、その人物の狩猟の対象物たる青鷺 / Heronが画面中央におおきく描かれているのです。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 10:09 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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