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『聖アントニウスの誘惑』 by イヴァン・オルブライト

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    一見、抽象画の様にみえる。
    磨耗し腐食した金属片と、そこから滲みでる重油の様にもみえる。いずれにしても、陰鬱で幻滅する様な描写だ。
    だが、画面右下に青銅色の肌をした、転倒した女性の全裸に気づく。彼女ひとりではない。その左側にもおなじ様な姿態がみえる。
    そんな彼女達に雁字搦めにされて、本作品の主人公は、黒色の肌をさらし、断末魔をあげているのである。


    作品名:聖アントニウスの誘惑
        The Temptation Of St. Anthony
    画 家:イヴァン・オルブライト
        Ivan Albright
    美術館:シカゴ美術研究所アメリカシカゴ
        The Art Institute Of Chicago, Chicago, USA


    1946年の事です。
    ギ・ド・モーパッサン / Guy de Maupassantの小説『ベラミ / Bel-ami』の映画化に際し、その作品内に登場する絵画作品『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』の公募が開催されました。
    映画がクランク・インするまでに90×120 cm程度の作品を完成させるのです。1等賞金2,500ドル、参加者全員に500ドルが支払われます。このコンクールに12人の画家が参加し、1人を除き11作品が期日までに完成します。
    作品の審査にはマルセル・デュシャン / Marcel Duchampらがあたり、その結果、マックス・エルンスト / Max Ernstの『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』(こちらで紹介済み)が当選します。

    ギ・ド・モーパッサン / Guy de Maupassantの小説『ベラミ / Bel-ami』の映画化作品『ベラミの私事 / The Private Affairs Of Bel Ami』(アルバート・リューイン / Albert Lewin監督作品)は翌1947年に公開され、マックス・エルンスト / Max Ernstの『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』もそのワン・シーンを飾った筈です。しかしながら、興行的には完全に失敗に終わり、映画『ベラミの私事 / The Private Affairs Of Bel Ami』(アルバート・リューイン / Albert Lewin監督作品)は完全に忘れ去られたかたちとなっています。

    その一方で、その映画の為に行われた絵画の公募は未だに議論の的となっているのです。

    サルバドール・ダリ / Salvador Daliの『聖アントニウスの誘惑 / La tentation de Saint-Antoine』をこちらで紹介した際に、ここまでは既に記述しております。殆ど、コピー・アンド・ペーストなのです。

    そして、本作品は次席の2等入選作品です。
    悪鬼達にとりかこまれて横臥し、聖アントニウス / Antoniusが絶叫をあげている光景と、本作品を解釈すると、1等当選作品の、マックス・エルンスト / Max Ernstの『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』とその部分で共通している様に思えます。
    ですが、その悪鬼達の解釈、彼らが悪行を行うその周辺の環境は全く違います。その解釈の違いが両者を分けたのでしょうか。
    それとも、映画作品の背景の一部として起用されると謂う点に於いて、両者に差が生じたのでしょうか。と、謂うのは、本作品、じっくりとしげしげと作品そのものを凝視しないと、画題が理解出来ないんぢゃあないかなぁと、思えるのです。

    それに第一、この作品、みればみるほど、悪感情ばかりが芽生えるのです。
    あまり気持ちのいい作品ではありません。

    下に掲げるのはジョン・チャールズ・ドールマン / John Charles Dollmanによる『聖アントニウスの誘惑 / The Temptation Of St. Anthony』。1925年の作品。
    上の作品とは真逆の様な印象を受けます(と謂うかそれがこの作品を選んだ理由です)。
    修行に耽る僧を訪う、ひとりの全裸の女性、彼が誘惑に陥るのは、もしかしたら、これだけで充分なのではないでしょうか。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 09:35 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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