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詩『小説:A Novel』

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    KOに

    その小説家が綴る物語は総て作者自身を語るものだった。私小説だから、というのではない。何故ならば、彼女が綴る物語の殆どは、男性が主役を演じているのだから。

    とはいうものの、主人公に彼女の夢を仮託したという単純なはなしではない。小説家の理想のすがたがそこにあるのではないからなのだ。むしろ、読者のわれわれからみれば、あまりみたくないおとこ、あまりつきあいたくないおとこ、はっきりいって毛嫌いするおとこ、そんな人物ばかりが登場するのである。

    もしかすると、その小説家自身の醜聞をかきあつめれば、なにか解るのかもしれない。御存知のとおり、彼女の男性遍歴は相当に華やかなのだから。
    彼女がはいてすてた、かつての数々の恋人達を煎じ詰めればもしかしたら、彼女の物語の主人公達が精製されるのかもしれない。

    だからといって、物語にあらわれる、そんなおとこに恋するおんなも、そんなおとこに翻弄されるおんなも、彼女の悪夢が具現化したとはいいがたいのだ。

    第一に、そんな解りやすい結論では、わたし自身が納得はいかない。
    彼女の作品にあらわれるすべてのひとびとはみな、彼女自身であらねばならぬ。

    はるかなむかしに、シェヘラザードが王、シャフリヤールに語った物語とは一体、なんだったのだろう。
    王がもっと愚かだったのならばきっと、他の夜伽同様、彼女を斬ってすてたのにちがいない。
    王がもっと賢くあればやはり、他の夜伽同様、彼女を斬ってすてた筈だ。
    王は、彼女の語る物語に一体、なにをみ、なにをきき、そしてなにをもとめたのだろう。
    それがわからぬかぎり、一千もの夜の緊張を耐え忍んだ彼女を、一千もの波乱を演出した彼女を、理解する事はできぬ。

    無論、その小説家はシェヘラザードではない。
    だからこそ、彼女は作家自身をこうやって、おのれの作品のなかで語り続けているのだ。
    るい rui, the creature 4 =OyO= * poetry : sonnet * 00:00 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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