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『自画像(1652年)』 by レンブラント・ファン・レイン

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    暗闇の中にひとりの男の姿が浮かぶ。壮年、もしくは中年。くろい衣服は薄汚れている様にもみえる。徒手空拳と呼べるのだろうか。なにももたないその上半身は、彼の身分や地位を一切、教えてくれない。農夫にも工夫にもみえる。見窄らしいとも穢らしいともよべそうだ。
    しかし、仮にそうだとしても、彼のふたつのまなこは、べつのことを語ろうとしている様なのだ。


    作品名:自画像(1652年)
        Self Portrait 1652
    画 家:レンブラント・ファン・レイン
        Rembrandt Harmensz, van Rijn
    美術館:ウィーン美術史美術館オーストリアウィーン
        Kunsthistorisches Museum, Wien, Austria


    既にこちらで掲載してありますが、あらためてご紹介します。

    表題にもあるとおり、1652年、画家46歳の作品です。

    この画家の自画像はこのブログでも既にいくつか紹介してあります。
    老いたる画家(こちらを参照の事)や前途洋々とした画家(こちらを参照の事)、その時代、その年齢、ひとつひとつの作品に、その画家の、と謂うよりも、ひとりの男性の遍歴が刻み込まれている様です。

    ですが、画家34歳の自画像である『自画像(34歳の自画像) / Self Portrait At The Age Of 34』(こちらで紹介済み)と本作品とを比べると、随分と様変わりした印象を受けます。この12年の間にあまりにも多くの事があった様に見受けられます。加齢したとか、年輪を刻んだ、そんなありきたりの形容では表現しきれない程です。

    この間、画家は大作にして彼の代表作のひとつ、『夜警(フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ラウテンブルフ副隊長の市民隊) / The Night Watch (De compagnie van kapitein Frans Banning Cocq en luitenant Willem van Ruytenburgh)』(1642年の作品。こちらで紹介済み)を描き上げます。彼の画業の頂点に達したと謂ってもいいくらいです。
    しかし、その一方で私生活には波乱ばかりが起こります。幼い愛児2人も亡くしてしまうばかりか、愛妻サスキア・ファン・オイレンブルフ / Saskia van Uylenburghも没してしまいます。と、同時に経済的にも困窮の極みへと陥ってしまうのです。

    もしも仮に『自画像(34歳の自画像) / Self Portrait At The Age Of 34』を画家の最も華やかりし時代を描いた作品と評するのならば、本作品は画家が最底辺にあった時代と評する事が出来そうです。

    しかし、だからと謂って、自身の貧困や不幸を描いた作品とばかりには思えないのです。
    この作品に描かれた不敵なつらがまえや、輝きを喪っていない両のまなこの輝きは、それらとは全く異なる印象を与えてくれます。
    なんだか、喪うべきモノは総て喪った、これ以上に喪うモノはなにひとつない、そんな達観とともに、いまこそ世に打って出る時だと自身を鼓舞している様にも思えるのです。

    下に掲載するのはユルゲン・オーフェンス / Jurgen Ovensによる『1652年の自画像 / Selbstportrat, c.1652』。この29歳の自画像は、題名にある様に、上の作品と同年頃に描かれています。
    もしも、このふたりの画家達がそれぞれの自画像をみくらべたら一体、どんな印象を抱くのかなぁと、ふと妄想を逞しくしています。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 08:43 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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