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『干し草車』 by ヒエロニムス・ボス

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    人生にはみっつの局面、いや、よっつめの局面もあるのか。
    それとも?


    作品名:干し草車
        Triptico del carro de heno (The Haywain Triptych)
    画 家:ヒエロニムス・ボス
        Hieronymus Bosch
    美術館:プラド美術館スペイン マドリード
        Museo Nacional del Prado, Madrid, Reino de Espana


    1500年から1505年にかけての作品。

    作品は三幅対 / Triptychです。画面左側にあるのがエデンの園 / Garden Of Eden、画面右側にあるのが地獄 / Hell。そして中央に位置しているのが干し草車 / The Haywainです。
    で、これは一体、なんなのだろう? と思ってしまいます。

    この画家独自の描写、至る処に得体のしれない人物や小動物が配されていて、この作品でも彼等は思いのままに、おのれのおもむく事を行なっています。個人的には、それをつぶさに観ているだけで楽しい。観ていたいのは、この作品の細部なのです。

    それで作品を堪能していればそれでいいのですが、翻って作品全体を眺めてみると困惑するばかりです。

    絵巻物 / Emakimonoならば、画面は右から左へと進みますが、西洋の作品ならばそれは逆転します。左から右へと時系列は進み、物語も展開します。
    そうすると、画面左側にあるエデンの園 / Garden Of Edenから追放されたわたし達(その部分のそこかしこに登場する1組の男女は、アダム / Adamイヴ / Eveなのでしょう)は、画面中央にある干し草車 / The Haywainを経て、画面右側にある地獄 / Hellへと至るのでしょうか?
    つまり、エデンの園 / Garden Of Edenが過去、地獄 / Hellが未来。それはなんとなく納得がいきます。自身の日頃の行いを鑑みれば、それは致し方ありません。
    では、その間に挟まれた干し草車 / The Haywainとはなんなのでしょうか。これを現在と理解すべきなのでしょうか?

    『干し草車 / The Haywain』という画題で検索すると、登場するのは本作とジョン・コンスタブル / John Constableの『干し草車(風景−昼) / The Hay Wain』(1821年の作品 こちらで紹介済み)ばかりです。後者は純然たる風景画 / Landscape Paintingであって、そこからでは本作理解への足がかりとはなりません。

    ところで、この三幅対 / Triptychを閉じると、下に掲載する様に『放蕩息子(行商人) / El vendedor ambulante (The Pedlar)』と謂う作品が顕れます。
    いや、逆ですね。『放蕩息子(行商人) / El vendedor ambulante (The Pedlar)』と謂う作品を開くと、上の三幅対 / Triptychが登場するのです。

    放蕩息子 / The Prodigal Sonと謂うのは、『新約聖書 / Novum Testamentum』の『ルカの福音書 / Evangelium secundum Lucam』の第15章 / 15で語られる人物の事です。
    もしかしたら、ここに描かれている初老の人物の遍歴、彼の実体験を如実に描いたのが三幅対の正体なのかもしれません。
    この人物、タロットカード / Tarot大アルカナ / Major Arcanaのひとつ、愚者 / The Foolのカードを思わせもします。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 08:38 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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