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『フォリー=ベルジェール劇場のバー』 by エドゥアール・マネ

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    とある酒場での光景。カウンターに両掌をつく、そのひとの表情を読み取るのは難しい。彼女の背後には、そのバーで今、織り成されている様々な物語が映し出されている。孤独なのか。否、彼女もひとりの男性と相対しているのだ。でも、それで彼女が満たされているとするには、すこしおぼつかないモノがある。先程からずっと、彼女はこちらを真正面から見据えているのだから。


    作品名:フォリー=ベルジェール劇場のバー
        Le bar aux Folies-Bergere
    画 家:エドゥアール・マネ
        Edouard Manet
    美術館:コートールド・ギャラリーイギリスロンドン
        The Courtauld Institute Of Art, London, England


    1881年から1882年の作品。

    作品の素材(それとも舞台と謂うべきでしょうか)となった劇場、フォリー=ベルジェール / Folies Bergereは現在でも営業しています(と、謂う事実に先ず驚かされます)。

    本作品に関しては、森村泰昌 / Yasumasa Morimuraがその著書『美術の解剖学講義 / The Lecture Of Anatomy For Art』に於いて精緻な解読を試みています。
    そこでは先ず、本作に描かれている人物の人数に関する疑問からスタートし、本作品の構図の解読へと筆を進め、最後には本作をモチーフとした自身の作品『美術史の娘(劇場A) / Daughter Of Art History, Theater A』(1989年発表)の解説に至ります。
    それが面白い。そして、それが美術作品を観るわたし達へのよすがとなるのです。こういうみかたをしていけばいいのだなぁ、と。

    ところで、本作に描かれている人物の人数を著者は、たったのひとりとしています。画面中央でカウンターに両掌を添えている女性ただひとりが実在の人物で、それ以外は、その女性の後方に張り巡らされた鏡に映る虚像だと謂うのです。
    画面右に、ある男性と差し向かっている女性の後ろ姿がありますが、これも鏡の虚像。画面中央の女性そのひとの後ろ姿であると謂うのです。だから、画面中央の真正面には、画面右端に映り込む男性が面と向かっている事になります。
    確かに、そうですよね。

    でも、何故か腑に落ちないのです。
    鏡と謂う素材によって起こり得る素材の配置と謂う点を考えれば、著者の謂うとおりなのです。ですが、画面右側の後ろ姿の女性のあるべき表情として、画面中央の女性のそれを看做す事は少し躊躇われるのです。単純に、接客中にみせる表情なのだろうか、と。
    だからもしかすると、実際の光景と鏡のなかの光景には時差があるのではないだろうか、さもなければ、鏡のなかの光景が画面中央の女性の心象を映し出したモノ(勿論、その逆の可能性もあり得るのですが)ではないだろうか、そんな気がするのです。

    勿論、いやだからこそ、画面中央の女性と後ろ姿の女性は別人なのだ。背景にあるのも、鏡のなかの虚像ではない、実際にある実景なのだ、と謂う理解も成立しなくもないのですが。

    下に掲載するのはショーン・ローソン / Shawn Lawsonとワファー・ビラール / Wafaa Bilalによる『フォリー=ベルジェール劇場のバー / A Bar At The Folies Bergere』。2007年の作品。
    上の作品を素材にした絵画作品は、森村泰昌 / Yasumasa Morimuraの『美術史の娘(劇場A) / Daughter Of Art History, Theater A』を含め、幾つも散見されます。そのなかで最もわたしが気に入ったモノが下の作品です。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 08:43 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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