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『十字架を担うキリスト』 by エル・グレコ

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    なかば、重き十字架 / Crucifixionに我が身を預ける様にしてそれを担う彼は、なにを思う。
    天をあおぎみる彼、それは伝え聴く物語とは、すこしだけ異なる相貌がある様にも思う。


    作品名:十字架を担うキリスト
         Cristo abrazado a la cruz
    画 家:エル・グレコ
        El Greco
    美術館:プラド美術館スペインマドリード
        Museo Nacional del Prado, Madrid, Reino de Espana


    1602年の作品。

    判決を下したポンティオ=ピラト / Pontius Pilateの許から、刑場であるゴルゴタの丘 / Calvariae Locusへの道、すなわちヴィア・ドロローサ / Via Dolorosaを歩むイエス・キリスト / Iesusが本作の画題です。
    ですが、同一画題の作品群とは、趣きが違う様に想えます。

    ネット上で検索すると、ヴィア・ドロローサ / Via Dolorosaを題材とした絵画作品が幾つも登場します。ですが、その殆どは、その道程の光景を描いたモノ、ゴルゴタの丘 / Calvariae Locusへと連行する兵士、彼の命運を慮って付き従う信徒達、そしてそれらを興味本意で凝視める群衆達です。それらの中心に彼がいます。あたかも、彼を描くのが目的ではなく、その道行であった幾つかのエピソードや、そのエピソードに関与した人物達、さもなければ、その場にいる総ての人々を描くのを、念頭に置いている様です。

    尤も、彼ひとりを描写した作品がないわけではありません。しかし、それらの殆どでは、彼は自らの背負う十字架 / Crucifixionの重みに耐え、苦痛に顔を歪めています。

    本作の様に、あおぎみる作品は、ネット上には登場しないのであります。
    唯一の例外は、同じ画家による作品、メトロポリタン美術館 / The Metropolitan Museum Of Artに収蔵されている『十字架を担うキリスト / Christ Carrying The Cross』(1577年から1587年頃の作)です。ですが、その作品は、まったく同じ構図で、どこからみても本作の色違いであるかの様にしか想えないのです。

    結果的に、わたしは彼の表情、そしてそれによって想像され得る彼の内心へと関心を向けざるをえません。
    例えば、磔刑 / Crucifixion執行後に彼によって囁かれたと謂う、十字架上のキリストの最後の7つの言葉 / Sayings Of Jesus On The Crossのそのひとつひとつを当て嵌めて、一体、どの言葉が最も相応しいのであろうかと、考えてしまうのです。

    猶、わたしが本作を知った美術評論『プラド美術館の三時間 / Tres horas en el Museo del Prado』(エウヘーニオ・ドールス / Eugenio D'ors1923年初版)には、次の様な言及があります。

    「彼の魂は肉体の美しさに対するいかなる敬意とも袂を分っているようでもあり<中略>色彩の狂おしい官能性に、つまり、生と精神に道をゆずっているのである」(「生」及び「精神」に強調の圏点 / Emphasis Point

    下に掲載するのはデイヴィッド・ボンバーグ / David Bombergによる『イスラエルよ、聞け / Hear O Israel』。時代はぐっとくだって1955年の作品です。
    こちらによれば、この作品は上の作品の構図にインスパイアされたのだとあります。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 08:16 * comments(0) * - * -

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