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詩『父のかたる:Father Talks』

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    Iに

    街角でふいにこえをかけられる ふりむくとそこにいるのは年配のご婦人だ さぁ、だれだろう そのひとがよびかけるなまえではいまではだれもよばない そうよばれていたのははるかなむかし おさないころのことなのだ そんななまえをおぼえているひとはもういないはずだ 怪訝なわたしにそのひとはなのりをあげる その名をつげられてもおもいだせない だが、そのこえとはなしぶりですこしづつそのひとに補正がくわわる わかかった、そしてきれいだったころへとそのひとはもどっていく ようちえんもあがるまえ そのひとはとなりにすんでいた 街角はいつしかわたしのふるさとの様相をおびている 帰郷したのではない いつもの街 いつもの路をあるいてなぜかそこにいる いずれゆっくりとはなしましょう そういってそのひとはわたしのもとをさっていく なつかしい街をあるいているとなぜか父のことばがこだまする はなしているのは彼のおさないときのおもいでで わたしがはじめてきくものばかりである いつこんなことをかたっていたのだろう そしてなぜ、いまここでおもいだすのだろう この街は彼がうまれそだった街ではないのだ わたしもしらない西の街だ そして、彼がいつどうしてこの街にきてわたしをうむひととであいわたしをはぐくむことになったのか 記憶のいとをたぐろうにもそれはとぎれたままだ 彼がなくなったのはずいぶんまえのことなのだ かれはかたる かれにはおとうとがあったこと そのおとうとははやくになくなってしまったこと そしてそれが悔われてならないこと かれがかたりかけるあいてはだれなのだろう それらのことばはけっしてわたしにむけられたものではないのだ 街のおもかげがきえるころ とおくなる父のこえはたしかにこういったのだ むすめをたのむ、と ああ、そのひとももうわたしのもとにはいない
    るい rui, the creature 4 =OyO= * poetry : sonnet * 00:00 * comments(0) * - * -

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