<< October 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 返歌二首:一夜明ケテ詠メル | main | 短歌:一昼夜、雨降ル次ノ朝ヲ詠メル(「あめのあさ」トイフ五文字ヲ句ノ上ニスウテ詠メル) >>

『メデューズ号の筏』 by テオドール・ジェリコー

0
    まっ先に眼に飛び込んでくるのは、画面右手上方に踊る小さな赤い布。風になびいて今にも画面左手に吹き飛ばされそうになりながらも、その小さな赤い布を懸命に振るう腕によって、画面右手に打ち振るわれる。
    そして、そのすぐ下に、赤い布とは異なる躍動を描いて、白いシャツ?が振るわれている。
    描かれている総てが、この様に緊張に満ちた対比を担っている。そこにあるのは、波瀾と緊迫と様々な感情である。


    作品名:メデューズ号の筏
        Le Radeau de la Meduse
    画 家:テオドール・ジェリコー
        Jean Louis Andre Theodore Gericault
    美術館:ルーヴル美術館フランス共和国パリ
        Musee du Louvre, Paris, France


    この作品を構成しているのは、様々な三角形の構図である。しかも、そのどれもが不安定なポジショニングを与えられていて、しかも、二点が構成する直線から、ぐいっとそれに孤立するかの様に、力強いエネルギーに満ちた頂点が対位している。

    例えば、大きなふたつの三角形。
    冒頭に触れた赤い布と、その布(とその布が振れられる対象物である救助の船)にすがりつく人々の動きが織り成す三角形。この三角形は、生への希求となって、救いを求める人々の視線とわたしたち観るものの視線を、その赤い布に向わせる。しかし、その熱い視線と逆のベクトルをもっているのが、画面左手にいる、これもまた赤い布を纏った、男性の諦念だ。そして、彼の視線の向こうにあるのは、死に瀕した(もしくは既に死に到達した)男たちの裸体である。
    その三角形と対を成す様に置かれているのが、もうひとつの三角形。画面左を大きく占める、筏に掲げられた帆とそれを固定する力強い縄々である。そして、その帆が受け止める大きな風の力は、助けを求める人々の意に逆らう様に、嘲笑う様に、嘲る様に、画面左手に筏を連れ去らうであろう。
    つまり、画面右手奥に向けられた人々の動きを描く大きな三角形と、その人々をさらなる苦難と辛苦をもたらす自然の非情さを描く大きな三角形が、ここにある。

    例えば、画面中央の小さな三角形。
    男がぶぅんと振るう腕の動きと、その腕の動きが指し示すものが何か、懸命に語ろうとするその男の視線。しかし、彼が語りかける相手の眼は、うろんに疑心暗鬼な暗い表情を示している。
    ーみえるか!? 救いはあそこまで来ているぞ!!  助かったんだ!!
    ーどこだ?? オレには見えない。 また、まぼろしではないのか??
    そんな台詞が読み取れる様に、この作品に描かれている人物ひとりひとりが、雄弁に己の感情を迸らせている。そして、それは絶望と希望のあいまを揺れ動くにんげんが抱く、様々な感情のサンプルかもしれない。

    あまりにもドラマチックな描写なので、小説や神話世界の物語(例:ホメロス / Homerosの『オデュッセイアー / Odysseia』)の再現かと思っていたら、実は、制作時から数年程前の1816年にあった海難事件をモチーフにした作品だそうです。
    この作品を初めて観たのは、たしか小学生向けの学習図鑑かなにかの、ロマン主義 / The Romantic Movementの説明だったと思います。ウージェーヌ・ドラクロワ / Ferdinand Victor Eugene Delacroixの『民衆を導く自由の女神 / La Libert・guida il popolo / Liberty Leading the People』と一緒になって、この作品が掲載されていました。
    そのウージェーヌ・ドラクロワ / Ferdinand Victor Eugene Delacroixも、本作品の制作に協力していて、画面中央手前にうつぶせになっているのが、彼との事です。

    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 00:03 * comments(0) * trackbacks(0) * -

    スポンサーサイト

    0
      スポンサードリンク * - * 00:03 * - * - * -

      comments

      entry your comments









      trackbacks

      このページの先頭へ