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『オーランドー』 by ヴァージニア・ウルフ

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    時は16世紀 / the 16th. centuryエリザベス朝 / the reign of Queen Elizabeth I
    女王の寵愛を一身に受けた美貌の少年オーランドー / Orlandoはロシアの公女に翻弄された失恋の痛手と、新たな恋の誘惑から逃れる様に、外交官として大活躍して侯爵の地位を得る。しかし、ふとしたはずみで昏睡状態に陥ってしまう。
    そして、彼が目覚めたとき、彼は彼女だった。
    .......。

    原書『Orlando: A Biography』(画面左)と『オーランドー』(同右)

    書名:『オーランドー
    原書:Orlando: A Biography
    著者:ヴァージニア・ウルフ / Virginia Woolf
    翻訳:杉山洋子
    発行:ちくま文庫筑摩書房


    女となったオーランドー / Orlandoは、ヨーロッパを放浪し、様々な男性遍歴と女性遍歴を重ねて、16世紀 / the 16th. centuryから書き綴っていた己の詩集『樫の木 / The Oak Tree』を遂に完成させる。時に1928.10.11.。オーランドー / Orlando36歳。一児の母である。

    作者が己の恋人であったある女性をモデルに書いた「伝記 / biography」です。ちくま文庫版の表紙に掲載されている少年や青年や女性の肖像は、その恋人ヴィタ・サックヴィル=ウェスト / Vita Sackville-West自身や彼女の家系の方々のモノだそうです。
    つまりは、作者ヴァージニア・ウルフ / Virginia Woolfにとって、恋人ヴィタ・サックヴィル=ウェスト / Vita Sackville-Westは、女性であると同時に男性でもあったという下衆な勘ぐりも可能となってしまいます。しかも、ふたりには同性愛 / Homosexuality両性具有 / Hermaphroditeを想わせる書簡も遺されています。



    でも、それ以上に作品の中で、主人公が4世紀間にも渡って書き続けられていた詩集『樫の木 / The Oak Tree』の存在が興味深いです。男性的で雄々しく書かれたかと想ったら、時にヘナチョコな気の抜けた作風になってしまう。作品研究によれば、これは英国詩の遍歴を半ばパロディ的に描写しているものらしいです。
    つまり、『オーランドー / Orlando: A Biography』という作品は、作者の恋人へと向けた長い長いラブレターであると同時に、彼女のもう一方の恋人、英国文学 / British literatureへのオマージュでもあるようです。

    物語は表面的にはとっても奇想天外だったりスキャンダラスな香もしますが、その奇想天外さやスキャンダラス性よりも、作者の主人公に向けられたやさしいまなざしが、心に残ります。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : comics and literature * 13:38 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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