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『ジョルジュ・サンドの肖像』 by ウージェーヌ・ドラクロワ

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    黒衣をまとったそのヒトの、俯いたその顔は、何を観ているのでしょうか? ナニかを語りだそうとしているのか、組んでいた両腕は解き放たれて、左腕は中空を彷徨っています。その一方で、白いハンカチーフ?を握った右手は、さらに強く、白布を握りしめている様に観えます。それは静かな中にも、激しいものがたち現されている様です。
    秀でた額から鼻梁を経て顎に至る稜線と、両肩から頸筋が描く稜線が、交錯して、美しい階調を導きだしています。ヴォリューム感ある束ねられた黒髪と黒布、柔らかい肌の色、そして右手にある白布の激しい描写、その対比が素晴らしく思えます。
    それでも、この作品は未完成で、作者の死後、アトリエで発見されたそうです。しかも、今とはちょっと異なった形で...。


    作品名:ジョルジュ・サンドの肖像
        Portraet af George Sand
    画 家:ウージェーヌ・ドラクロワ
        Ferdinand Victor Eugene Delacroix
    美術館:オードロップゴー美術館デンマーク王国コペンハーゲン
        Ordrupgaard, Copenhagen, Kingdom of Denmark


    モデルとなったのは、19世紀の女流文学者ジョルジュ・サンド / George Sand。いくつもの男性遍歴を重ね、社交界では男装の麗人となって現れ、女性の権利拡張運動を主導して、自身の作品以上に、本人の言行がスキャンダラスな存在だった、そういう方です。
    でも、この作品を観る限りでは、内に秘められた繊細さやさしさを感じる事が出来ます。
    何故ならば、この作品は本来、愛する男性の傍らに寄り添う叙景を描いたものだからです。
    画家ウージェーヌ・ドラクロワ / Ferdinand Victor Eugene Delacroix自身は、この作品を恋する男女二人を描きながらも、未完成でかつ未公表のまま、己の手許においてありました。そして、画家の死後、ナニモノかの手により、作品は分断されて、描かれた二人の絵は、引き裂かれて各々独立した作品として、取り扱われました。
    だから今、『ジョルジュ・サンドの肖像 / Portraet af George Sand』としてこの作品を観るわたし達の想いは、複雑なものとなります。何故ならば、今、この作品から導き出される、この絵の主人公であるジョルジュ・サンド / George Sandの表情や内面は、はたして、その通りのものなのだろうか? それらは、恋人とともにある本来の作品を観たときに、同じ様に感じ取る事が出来るのだろうか? そして、作者の意図とは別の処で、引き裂かれてしまった恋人達の作品というエピソード / The Episodeを知ってしまった時に、この作品に抱くわたし達の感情をそのまま、作品自体に投影していいものだろうか?と。
    尤も、ジョルジュ・サンド / George Sandという固有名詞を知っているのか、知らないのかで、作品に向うわたし達の、接し方は、随分異なるものになると想うのですが。
    (作品のエピソード / The Episodeを既に御存知の方には無効なのですが)もう少し、話をややこしくしちゃうと、別れ別れになってしまった恋人の名前は、フレデリック・フランソワ・ショパン / Fryderyk Chopinといいます。そして、その作品はルーブル美術館 / Musee du Louvreで公開されています。作品名は『フレデリック・フランソワ・ショパンの肖像 / Frederic Chopin』です。

    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 12:07 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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