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『大使たち』 by ハンス・ホルバイン(子)

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    緑色の重々しいカーテンと数々の調度が並べられた飾り棚を背景にして、ふたりの男性が正面をきっと睨んで立っています...と、いつもの様に書き出してもいいのだけれども、幼い頃から馴れ親しんでいる絵だから、ちょっと気恥ずかしい。しかも、絵画作品とか美術作品という視点で接していたのではなくて、これなぁんだ?のクイズやパズル仕立ての絵解きとして、観ていました。

    つまり。

    右側に立っている人物の足許あたりに眼をおいて、画面下の歪んだ白い物体を観ると、果たして、ナニが観えるのでしょう?


    作品名:大使たち
        
    Jean de Dinteville And Georges de Selve (Die Gesandten / The Ambassadors)
    画 家:ハンス・ホルバイン(子)
        Hans Holbein The Younger
    美術館:ナショナル・ギャラリーイギリスロンドン
        The National Gallery, London, England


    勿論、答えは髑髏の頭部 / skullheadですね?

    だまし絵 / トロンプルイユ / Trompe l'oeilとして有名なこの作品は、あまりにも有名だから、みんな、その髑髏の頭部 / skullheadしか観ようとしないのだけれども、実はそれ以外にも、様々な隠された情報が描かれているのです。

    画面左側に描かれている人物は、ポリシィ領主ジャン・ド・ダントヴィル / Jean de Dinteville。それに対するは画面右側、ラヴール司教ジョルジュ・ド・セルヴ / Georges de Selveです。
    作品左下に1533年と記されていて、飾り棚の上段中央に置かれた計測器には04.11.とあって、さらにその右隣の日時計は、10.30.amを指し示しています。彼らが、その年その日その時間に会見した事を示しています。
    ジャン・ド・ダントヴィル / Jean de Dinteville右手に握る短剣には29とあり、ジョルジュ・ド・セルヴ / Georges de Selve右腕が置かれている書物には25とあり、これは、各々、その年その日その時間に会見した二人の年齢だそうです。

    と、ここまで呼んでくると、今で言う記念写真かなにかの様なものを想像しますが、もっと詳しく観て行くとさらにいろいろなものがみえてくるそうです。例えば、飾り棚に処狭しと並べられた調度の品々ひとつひとつが象徴している意味等、枚挙に暇がありません。
    なので、ひとつだけ書いときますね?

    飾り棚上段には、天球儀計測器日時計が並んでいて、一方の下段には地球儀数学の書物リュートルターの賛美歌集フルートが並んでいます。上段は「天上」を推し量る機器が、下段には当時の学問や技芸を指し示す器物が並べられ「地上」を象徴しています。それは、ジャン・ド・ダントヴィル / Jean de Dintevilleが俗世間の代表として、そして一方のジョルジュ・ド・セルヴ / Georges de Selveが聖職者の代表として描かれているのに対応しています。
    より詳しくは、『図説 アイ・トリック―遊びの百科全書』(著:種村季弘赤瀬川原平、高柳篤)をお読み下さい。この作品以外にも様々なだまし絵 / トロンプルイユ / Trompe l'oeilが紹介されています。



    こうやって観て行くと、彼らの足許に大きな髑髏の頭部 / skullheadが文字どおり隠されているのにも、なんとなく納得します。二人の生者に対する死者です。

    死を想え / メメント・モリ / Memento mori

    ps : さらに良く観て行くと、画面左上隅に、ちいさなキリスト磔刑の十字架が、緑色のカーテンの向こうから、覗いています。生と死を凝視める神の存在でしょうか?
    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 14:16 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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