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『ナポレオンの聖別式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠』 by ジャック=ルイ・ダヴィッド

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    ここに描かれているのは、己の人生の頂点を極めたオトコの姿であり、また、この人物の活躍の舞台となった国にとっても、歴史的な転換点そのものです。


    作品名:ナポレオンの聖別式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠
        Le Sacre de Napoleon
    画 家:ジャック=ルイ・ダヴィッド
        Jacques Louis David
    美術館:ルーブル美術館フランス共和国パリ
        Musee du Louvre, Paris, France


    だからという訳ではありませんが、わたしがこの作品を知ったのは、美術館や美術書ではなくて、世界史を扱った百科事典での事でした。
    1804年、ナポレオン皇帝に就任、フランス革命終結する」てなキャプションがついていたのでしょう。つまり、フランス / Franceで開花するかと思われた市民革命が挫折して、時計の針を逆戻しにした瞬間であるのです。

    でも、この作品を展示しているルーブル美術館 / Musee du Louvreでは、レオナルド・ダ・ヴィンチ / Leonardo da Vinciの『モナ・リザ / Mona Lisa (La Gioconda)』に次ぐ、人気作品だそうです。
    それは何故か?
    やはり、冒頭に書いた様に、ひとりの人物のサクセス・ストーリーのクライマックスであると同時に、フランス / Franceもしくはヨーロッパにとっても、クライマックス・シーンのひとつだからでしょう。日本史で言うと、一介の農民だった日吉丸が天下人豊臣秀吉となって関白になった様なもんでしょうか?

    そして、なによりもこの作品は巨きい。縦630cm×横931cmで描かれたその絵では、ここに登場する主だった登場人物がほぼ等身大で描かれています。つまり、この作品を観る事はすなわち、この作品に描かれた、新しい仏皇帝の聖別式 / sacre de roi戴冠式 / Sacreに参列する事になりません。
    って、まるで現物を観た事がある様な口調で書いていますが、残念ながら、ルーブル美術館 / Musee du Louvreはわたしにとっては遠い場所です。想像で書いています。でも、まぁ、わたしが今居るこの空間が、余裕で3,4コは収まっちゃうスペースだから、絵画作品としてはべらぼうな広さです。だから、ここに掲載した画像では勿論、美術書なんかでどんなに緻密な細部に照射したとしても、この作品は、解らないかも知れません。
    でも、だからといって、修学旅行で奈良〜京都へ行った時でさえ、観るもの触れるものに「でかっ」とか「ひろっ」とか「怖っ」とか言ってばかりだったるいです。万一、わたしがホンモノに遭遇したら、ただただ圧倒されるばかりなんでしょうね、きっと。

    だから、未だ体感していない冷静な今の内に、すこしでもまともな事を書いておきますね。
    永年の研究成果によってこの式典に列席した主要人物がどこに描かれているのか判明しています(仏語ですが、ここでその対照表を観る事が出来ます)。逆に言えば、それだけ精緻に個々の人物が描きわけられているという事です。
    この作品の対角線と対角線を結んだ、つまり作品の中央に位置するのは、十字架 / Croix latineです。つまり、神の名の下に、ローマ教皇庁 / Roman Curiaが認めた聖別式 / sacre de roiであり戴冠式 / Sacreであるという事を物語っています。
    しかしながら、この作品に描かれている皇帝ナポレオン・ボナパルト / Napoleon Bonaparteに、観るものの注意と関心が集中する様に、総てのひかりが彼に集中しています。あくまでも、この作品の主題はナポレオン・ボナパルト / Napoleon Bonaparteである訳です。また、この式典で、ローマ教皇ピウス7世 / Papa Pius VIIの手から王冠を奪い、自らの手で己と己の妻ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ / Josephine de Beauharnaisを戴冠し(神のちからではなくて)己自身のちからでこの座を得たという事実をも物語っています。そう言えば、後ろに控えているローマ教皇ピウス7世 / Papa Pius VIIは、不機嫌そうな顔をしていますね?

    ところで、かのルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン / Ludwig van Beethovenは、ナポレオン・ボナパルト / Napoleon Bonaparteに捧げる交響曲 / Sinfonie, Symphonieを作曲するものの、(事実上、革命を頓挫させて)皇帝の座に就いたと知るや、ナポレオン・ボナパルト / Napoleon Bonaparteが変節したと看做し、ナポレオン・ボナパルト / Napoleon Bonaparteへその曲を捧げる事を断念します。その曲は今、交響曲第3番変ホ長調『英雄』作品55 / Sinfonia eroica, composta per festeggiare il sovvenire d'un grand'uomoとして聴く事が出来ますが、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン / Ludwig van Beethovenが夢想したナポレオン・ボナパルト / Napoleon Bonaparteの姿は、この作品と同じ画家ジャック=ルイ・ダヴィッド / Jacques Louis Davidが描いた『サン・ベルナール峠のナポレオン / Bonaparte au. mont Saint-Bernard』に観出せるかもしれません。それは、母国フランス / Franceの危急存亡の時、あえて苦難なアルプス越えを謀る"英雄"の姿です。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 14:40 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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