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モクヨウビノヒト:シリーズ「電車でGO!」

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    そのターミナル駅を、わたしは支線から支線へと乗り継ぐ為だけに、平日は毎朝そして毎夕、利用しています。
    朝の乗換駅は、とりわけ冬の朝の乗換駅は、皆、一目散に一直線で、目的のホームへと突進していきます。
    勿論、わたしもそんな突撃部隊のひとりでもある訳だから、前行くヒトの後頭部を見据えながら、真直ぐに最短ルートをとって、隣のホームへと駆け抜けていきます。

    だから、ものすごくヒトの群れが群れ集っている場所と、閑散とした場所が極端にあって、ちょっと、コースを外れれば、ゆっくりと人心地がつけるはずなのだけれども、やっぱり、そんな余裕は、時間的にも精神的にもありません。
    朝のキヨスクで大慌てでナニカ御買い物をするヒトや、立ち喰い蕎麦屋で朝食をかっこむヒトや、ホームの片隅に追いやられた喫煙所に逃げ込むヒトは、まだ、余裕のある人たちなんだろうなって、羨ましく思いながらも、目指すホームへと、一直線に駆け抜けていきます。

    それでも、一週間に一度だけ、己の巣と餌場の間を往復するだけの蟻々の群れから、ちょっと外れる瞬間があります。と、いってもそれはわたしひとりだけぢゃない様です。

    毎週木曜日の事です。
    それはフリーマガジンの発行日。
    だから、わたしは、いつものコースを外れて、その雑誌の置かれているマガジン・ラックに突進するのですよ。
    みんな、一瞬の隙をぷいっとついて、いつものコースから踵ひとつ外れて、勢いはそのままに、ホームを昇りきった踊り場隅にあるマガジン・ラックから、サササっと雑誌を引き抜いて、大急ぎで元のコースへと駆け戻ります。
    そして、大概のヒトビトは、お目当ての雑誌が既にあるらしく、必要最小限度の動作で、必要最小限の雑誌を手に入れていきます。

    その木曜日の朝も、そんないつもの木曜日の朝でした。
    なぜか、わたしが取ろうとした同じ雑誌に、もうひとつ、別の場所から手が伸びて、その雑誌を持っていてしまったのでした。そして、そのヒトはわたしのメを観て、すまなそうな表情をしながらも、足早に雑踏の中に消えていきました。

    その日以来、毎週木曜日は、そのヒトの存在に気がつくようになりました。
    どこからか現れたそのヒトは、いつもマガジン・ラックから雑誌を抜き取ると、足早にどこかに消えていきます。
    るい rui, the creature 4 =OyO= * diaries : by streetcar a-go-go! * 20:16 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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