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『聖母子と天使』 by フラ・フィリッポ・リッピ

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    画面左手には、碧の衣服を纏った女性が合掌しています。その彼女の元に、ふたりの少年が幼き子を掲げ上げています。よく観ると、その少年にはかわいらしい翼が生えています。そして、その翼を持つ少年が掲げ上げる幼き子は、女性に己の身体を預けようとしています。窓の外(それとも窓を模した風景画でしょうか)には、蒼い空と幾重にも重なる山並が望めます。


    作品名:聖母子と天使
        Madonna col Bambino e angeli
    画 家:フラ・フィリッポ・リッピ
        Fra Filippo Lippi
    美術館:ウフィツィ美術館イタリアフィレンツェ
        Galleria degli Uffizi, Firenze, Italia


    わたしはここに描かれている四人の登場人物夫々の表情が織りなす物語が好きです。
    三人の陰に隠れている後ろの少年(=天使 / Angel)は、スポットライトが己に当たっていないのが不満そうだし、その一方の手前の少年(=天使 / Angel)は、ここぞとばかりに己の出番という感じで、にこやかに張り切っています。そして、幼な子(=イエス / Jesus)は、普段よりも高く不安定な位置に置かれる事によって、不安げな今にも泣き出しそうな表情をかいま見せ、もう一方の主役である女性(=マリア / Virgin Mary)は、己に当たるスポットライトを意識してか、渾身の演技をしています。その顔には、慈悲と敬虔が溢れるばかりです。
    そうなのです。わたしのイメージでは、聖母子 / Madonna and Child自身を描いた作品というよりも、彼らを演じる役者達を描いた作品の様に思えるのです。これは否定的な意味合いで書いているのではなくて、聖書時代を描いた作品というよりも、画家と同時代の少年や幼児や女性をリアルに描いた作品に思えるという意味です(なんでも、聖母マリア / Virgin Maryのヘアスタイルやファッションは当時のフィレンツェ / Firenzeの最新流行モードとの事です)。そういう意味で考えると、遠景が騙し絵 / Trompe-l'oeilぢみた装いをしているのも合点がいきますね。

    しかしながら、もちろん、ここで描かれているのは、聖母マリア / Virgin Maryとその息子イエス / Jesusに他ありません。

    以前、このブログでも聖母子 / Madonna and Childを題材にした作品を紹介しました。今回が二度目です。
    その時の作品、ラファエロ・サンツィオ / Raffaello Sanzioの『子椅子の聖母 / Madonna Della Seggiola』を紹介した際も、その聖母マリア / Virgin Maryのモデルについて簡単に紹介しました。

    今回の作品のモデルとなったのは、ルクレチア / Lucretiaといい、後に画家との間に、フィリッピーノ・リッピ / Filippino Lippiをもうけます。二人の間に出来たこの息子は、父の画業を継ぎます。
    ルクレチア / Lucretiaは、本作品以外にも『聖母子と聖アンナの生涯 / Madonna and Child with Stories from the Life of St. Anne』や『ヘロデの宴 / The Feast of Herod: Salome's Dance』(サロメ / Salomeとして)にも描かれているといいます。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 13:54 * comments(0) * trackbacks(0) * -

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