with a kiss, passing the key

poetry and diaries of るい rui, the creature 4 =OyO=


<< 短歌:待チ焦ガルルめーる未ダ来タラズヲ詠メル | main | 「るい・いず・あ・ぱんく・ろっかー」なるいです >>



『海から上がるヴィーナス』 by ティツィアーノ・ヴェチェリオ

深い蒼空の下、沐浴している女性が独り。そのたおやかな黄金色に輝く、濡れた長い髪を束ね、凝視めているのは何でしょうか? 彼女を待つものでしょうか? たわわな胸は,豊かに揺れて、穏やかな海に独り、希望と不安がないまぜになったこころのうちを覗かせています。



作品名:海から上がるヴィーナス
    Venus Anadyomene
画 家:ティツィアーノ・ヴェチェリオ
    Tiziano Vecellio
美術館:
ナショナル・ギャラリー・オブ・スコットランドエジンバラスコットランド
    National Gallery Of Scotland, Edinburgh, Scotland


タイトルにある様に、ここに描かれているのはギリシア神話 / Greek Mythologyローマ神話 / Roman Mythologyの美の神、アフロディテ / Aphroditeことヴィーナス / Venus。でも、確かにここに描かれている彼女は美しいけれども、神性や聖性とは無縁の、ひとりの女性として、海にいます。
ギリシア神話 / Greek Mythologyローマ神話 / Roman Mythologyの神々は、その性格や行動は、他の神話体系に現れる神々よりも、遥かに人間的なのですが、それにしても、ここに描かれているヴィーナス / Venusの美しさは、あまりに人間的です。足許にある波間に揺れる貝殻だけが、彼女の出自を物語っています。つまり、海の沫から誕生したヴィーナス / Venusが、西風ゼフュルス / Zephyrsに運ばれて陸地へと辿り着く、と。

ティツィアーノ・ヴェチェリオ / Tiziano Vecellioは、『ウルビーノのヴィーナス / Venere d'Urbino』や『ヴィーナスとアドニス / Venere e Adone』といったヴィーナス / Venusを題材にした作品をいくつも手がけていますが、そのどれもが、神話的存在とは無縁の、ひとりの人間としての女性の美しさを追求している様です。

約2世紀もの後の、同じタイトルのジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル / Jean-Auguste Dominique Ingresの作品『海から上がるヴィーナス / Venus Anadyomene』の方が、俗性とはかけ離れた聖なる存在としての美神ヴィーナス / Venusを描いている様に観えます。


posted by るい 14:00comments(0)trackbacks(0)


この記事に対するコメント











この記事のトラックバックURL
http://rui4oyo.jugem.jp/trackback/609