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『ヴィーナスの誕生』 by サンドロ・ボッティチェッリ

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    海の沫から誕生した美神ヴィーナス / Venusは、西風の神ゼフュルス / Zephyrsの風に送られて、陸地へと辿り着きます。そして、その美しい裸身に、時の神ホーラ / Horaiがヴェールを与えようとしています。

    そんなヴィーナス / Venus誕生の神話を余すところなく描いた作品であると同時に、この作品を観る事によって、その挿話の一端を強く印象づけられる作品です。


    作品名:ヴィーナスの誕生
        La Nascita di Venere
    画 家:サンドロ・ボッティチェッリ
        Sandro Botticelli
    美術館:ウフィツィ美術館イタリアフィレンツェ
        Galleria degli Uffizi, Firenze, Italia


    画面中央にヴィーナス / Venus、画面左側にゼフュルス / Zephyrsとその妻である花の女神フローラ / Floraを配し、その反対側にホーラ / Horaiがいます。宙に浮かぶ夫妻の前傾姿勢とヴェールの稜線が、ヴィーナス / Venusが立つ大きな貝殻を底辺とした、二等辺三角形 / Isosceles Triangleを形成しています。
    その安定感と調和が、二等辺三角形 / Isosceles Triangleの垂線の位置にヴィーナス / Venusを立たせ、誰もが皆、彼女の美しい姿に魅了されます。

    ところで、今回この作品の記事を書くにあたり、矯めつ眇めつ眺めながら、どんな紹介の仕方があるのかなぁ、非常に有名な作品だしなぁ、ヴィーナス / Venusを画題とした作品ももう、こちらこちらで紹介してしまったしなぁ、と悩んでいたら、もうひとつの別の三角形 / Triangule Compositionを発見したのです。

    それは、ゼフュルス / Zephyrsの口吻を頂点とし、ホーラ / Horai自身を底辺とする三角形 / Triangule Compositionです。
    その三角形 / Triangule Compositionは先の二等辺三角形 / Isosceles Triangleとは異なり、かなり不安定な形を成しています。でも、その三角形 / Triangule Compositionの中には、観る事の出来ないものが描写されているのです。

    風です。
    ゼフュルス / Zephyrsが己の唇から吹き出す風は、フローラ / Floraから産まれる花々を舞わせ、波を興して貝殻を進ませ、ヴィーナス / Venusの長く美しい髪をなびかせ、ホーラ / Horaiの掲げるヴェールをはためかせる。その風は余勢をかって、ホーラ / Horaiの編んだ長い髪も彼女の衣服をも後方へとなびかせる。もしかしたら、ヴィーナス / Venusの裸身が美しいS字状を成しているのも、その風の威力かもしれない。

    このふたつの三角形 / Triangule Compositionの存在によって、静の画面の中に動が産まれ、作品に描かれた物語がクライマックスであると実感出来ます。

    と、考えを及ぼすのは穿った観方でしょうか?

    下に紹介するのはウィリアム・アドルフ・ブグロー / William Adolphe Bouguereauが描く『ヴィーナスの誕生 / The Birth Of Venus』。サンドロ・ボッティチェッリ / Sandro Botticelli描く本作品同様、貝殻に乗ったヴィーナス / Venusを描いてはいますが、より官能的により媚惑的です。そしてまた、よりプリミティヴなヴィーナス / Venusに観えます。


    るい rui, the creature 4 =OyO= * criticism : art * 14:43 * comments(2) * trackbacks(0) * -

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      comments

      >故郷喪失者さん

      >上昇(昇華)していく趣
      もしかしたら、ヴィーナスをこの地上に停める為に、ホーラが彼女にヴェールを被せようとしているのではないでしょうか?
      ヴィーナスが登場するもうひとつのサンドロ・ボッティチェッリの作品では、彼女はきちんと着衣していますから。
      Comment by るい @ 2009/11/21 10:16 PM
      二等辺三角形のあり様は、なんか「渦巻き」みたいで、上昇(昇華)していく趣がありますな〜。
      ウイリアム・ブグロウの絵の左側の女性の後ろ姿(おしり・背中)には男性的衝動が突進せざるを得ないような吸引力があります。
      Comment by 故郷喪失者 @ 2009/11/21 8:14 PM
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