あたかも空間を斬り苛むかのように すっくと茎がたちあがる
その先にある萼は まるで予定調和であるがごとく 幼な児の頚ほどもある
ふふふ 笑つちゃあいけない でもとんだお笑いぐさだ 祝杯のひとつでもあげたいくらいさ
その幼な児の頚の先にあるのはなんだとおもう お為ごかしもたいがいにしょうぜ なぁ
肉色をした 醜い 気色の悪い その華のみた夢の成れの果てさ
唇もかわしただろうさ 頬もよせただろうさ
慈しんで 愛おしんで 抱擁したのにちがいあるまい
御身 同胞 我が死 吾が生 生まれ出づるはおのがうつしみ
そうやって 託していったのさ その華の生殖器は おれたちに
だからだれにもわからない
その華のいっそうのうつくしさを
散ってしまったその花弁の 行方を尋ねても 詮無きことよ
舞う花粉の 黄金にもにた美しさと むせかえるような芳香が
ぼくにもきみにも妖しのなみだを誘うのさ