テーブルにしきつめられたシャーレのひとつひとつにぽたりぽたり
なんのことはない簡単な単純作業 だけれども動揺はかくしおおせない
適量をあやまる 試薬をあやまる そしてそれがすべってわれる
ゆめをみる
あやまった量の あやまった試薬の すべってわれたそれから なにかがおこる
サイエンス・フィクション・ダブル・フィーチャー
わずかな誤差があやなす いくつもいくつもが奇蹟をうむ
ああ、神とはそういうもの
だがゆめはゆめ
あやまりはきづいた時点で排除される 割れたうつわの行先はきまっている
手順通りに床をはき 手順通りに床をふく そしてすべてはディスポーザルへと
そうしてわたしはまたもとの動作にもどる
おびえる動揺のその正体をさぐるすべもなく 服務規程にしたがうだけだ
ゆめをみる もうひとつのゆめ わたしみずからがきずつくそのゆめ