ゆるやかな起伏をえがく広陵をたったひとつの道がだいなしにしている
きいろい大地 ひとたびとりが舞えば、あたり一面は黄にそまる
太陽だけはそこにある
そんな趣をご破算にしてしまう道が一筋はしっている
道にそっていまにも折れそうな柱がたちならび
どこへむかうのか どこへおくるのか 電気がはしっている
くらくなればきっと 同心円に灯がともるだろう
まっくろなそらのしたくらくしずんだそのうえを 虱がはしるのだ
いや、そんなさきのことをのろってもしかたあるまい 太陽はまだそこにある
うちそびれた釘が さもなければ ぬきそびれた釘が一列
その痛々しさだけでも充分にのろわれる資格はあるというものだ
そんな光景のどまんなかに 一台のくるまがはしってきてとまり
ひとりおんなをほうりだしていった
まるでわたしのような無様なはなしさ