めをとじなくともきこえる
喧騒や雑踏 そのむこうから
だれにかたるともなくはっせられているのだ
海 そうこたえるべきかもしれない
そこからうまれてわたしはここまできた
だがてらいもなくそうこたえるほど わたしはうぶではない
それはきっときくべきひとがいるのだろう
なにかのてちがいで わたしの耳殻にこだまする
そうわりきれば簡単だ
だがぎゃくに そのひとのことばかりがきにかかる
もしもわたしが旅人ならば 身支度をととのえるべきなのだ
素性や正体 詮索よりもなすべきはそこからの逃避だ
海 もとめるべきは出生のなぞではない
とおくへ ここからさらにとおくへとむかうための 港なのだ