そのひとがわたしの街にもやってきた
身の丈以上のながい棒をかかえてうしろむきにゆっくりとあるく
棒のさきはつねに地面にせっし、がりがりとおおきな音をたてる
彼のあるいたあとには、おおきくてながい痕がのこされる
地球をふたつにわけるのだという
そうしてそののちに、ひとびとをふりわけるのだという
記者はたずねる
では大洋はどうするのですか
そのひとはわらってこうこたえる
海にはひとはすめないのだから
そのひとの真意はわからない そしておおくのひとはかれをあざけっている
わたしはおもう
地球を分割したのちにそのひとはいずれにくみするのかと
かれの身体はつねに痕ができるそのまえにあり 永遠に帰属が未定なのだ