のぼる月を背にしておんなたちがよこたわる
浜辺で 砂漠で 回廊で だれもとおらぬ歩道のうえで
そしてひとしずくのなみだをながす
だれかがはかったわけではない
そこになにかのもくろみがあるわけではない
ただ、そのときがきたり 彼女たちはそうするのだ
次第にみちる潮で彼女はぬれ
かわいたすなは彼女をこごえさす
うすくらいその場所で 月よりも輝かしいあかりのしたで
あふれるなみだのそのわけをおのれに問う
そうして翌朝 月のあかりでこげついた
うすらくろい影だけがそこにのこされているはずだ
しかしその影は 霜がおりれば 風がふけば たちどころにきえてしまう儚さだ
だからその夜のできごとは 当人たちだけがしっている