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詩『めざめ:Awaken』

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    九死に一生をえた いつもそうおもう
    じぶんがいったいどこにいるのか いまがいつなのか
    それを自覚するまでのほんの一瞬

    よる みをよこたえたとこのなかで
    躊躇する一瞬 しかし奈落のそこへとおちるように不明となる

    夢のなかではおもいどうりにならない 夢のなかではだれもが理不尽だ
    それはこの世もいっしょ
    だがそれを如実に あからさまにおもわされるのだ

    もしかしたら このからだはわたしではないかもしれない
    もしかしたら これはまったく他人のからだなのかもしれない
    だが 嗚呼 残念ながら このからだはよくみしったからだだ

    それに安心もかんずるし それに不合理もかんずる
    よる わがみをぬけだしたたましいが いずこをさまようとも
    がんじがらめである そんな絶望 そしてまたきょうがはじまる
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    詩『堆積:A Pile Of Mine』

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      蛇口からもれている いってき、一滴、いってきと
      そのゆくえをたどってみれば、すべては排水孔だ
      心配することはない 不安がることもない
      もじどおりにみずにながしているのだ 結果的には

      堰にながれこむのはそうもいかない
      ながれこむみずの多寡ではない
      計測さえまちがえなければ 一切は想定内のできごとだ

      不純物が堆積する その量はけっしておおくはないが 零ではない
      堰のそこにしずむこみ ふかくしずかにまっている
      そしてある日に決壊する

      てをこまねいていればこそその日は不可避である
      建造物であれば、するべきこともわかっている

      だがそれが自然物 しかもわたしというもの その感情であるのならば
      いつかはその日 そのときがこないと断言できようか
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      詩『浴室のむこう:At Behind The Bath Room』

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        くもりガラスのむこうにひとかげがみえる
        なにをしているのだろう なにをしたいのだろう
        みぎへひだりへ ちいさくなったりおおきくなったり

        いま、ここをでるべきではない
        悲劇のヒロイン 最初の犠牲者 それはいやだ
        だから ふんとはなでわらう

        いまのわたしはみをまもるものもいっさいなく
        ながれる湯に身をさらしているだけなのだ
        きしめくようなおとをおもいだしても あれは映画のなかでのこと

        あわがながれきったら もういちどさいしょからだ
        きれいになろう いつもよりも いまよりももっときれいになろう

        そうやって時間かせぎをしていればきっと
        こちらのおもうつぼだ
        まちあぐねて こらえきれなくなって そうしてそいつはわたしの名をよぶ
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        詩『出口:An Exit』

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          RAに

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          詩『せつなさ:Wistful』

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            なにかが不足しているわけではない
            もちろん、みちたりてなどいない
            けっしておとろえているわけではない
            だからといって、健康とはいいがたい

            うめられない
            ピースのいくつかがみつからない
            そしてそれがなんなのかわからない

            あせをかけばぬぐえばいい
            ハンケチでもタオルでも
            でもそれではすくわれない

            むねにあなはぽっかりとあいている
            でもそれはいまにはじまったことではない
            さいしょから
            そしてそれをしっているだけにさらによけいに
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            詩『わすれもの:A Thing Left Behind』

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              こころのこりがあるんだ、
              そのひとことをのこしてもときたみちをそのひとはひきかえす
              ひとりっきりになったわたしはどうしたらいいのだろう

              ぬけがらは、はばたいていってしまったむしののこりものだ
              そのむしはかつてのじぶんをふりかえるだろうか
              そんな行為を否定する そのために脱皮の痕跡があるのではないだろうか

              そんなことをそこでかんがえる

              過去 それがあるのは唯一、ひとだけではないだろうか
              だからひとは変態しないのだ

              そんなことをいまここでかんがえている

              ところで、
              うしろをふりむきもせずにかけだしていったそのひとの
              わたしはこころのこりとなりうるのだろうか
              さっきからずっとそのひとのことばかりをわたしはかんがえているのに
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              詩『暗転:It Comes Suddenly』

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                予兆も伏線もなく不意にあらわれる
                うろたえることもある おどろくこともある

                もしかしたら、わたしだけなのかもしれない
                ほかのだれか、みなといってもいい
                かれらには既に自明なのだ
                そうおもえてしまうことがいちばんおそろしい

                無知だから、そうおもえるからではない
                すっぽりとぬけおちたまっくろなあながみえるのだ
                死角がある それがいやだ

                なにもない日常のつみかさねは、すこしづつすこしづつかわっていく
                ひとも自然も社会もわたしも
                そんなグラデーションが寸断されてそこにみしらぬ笑顔がのぞく


                そしてわかれ
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                詩『夜の音:A Sound In The Night』

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                  くるまのゆきかうおと、帰宅をいそぐおと
                  酔客の嬌声、観光客のこわだかな会話
                  もちろん、夜になればそれらは聴こえる
                  でも、それはわたしのききたいものではない

                  あかりのついた部屋部屋にはきっと会話がある
                  おやとこの、つまとおっとの、そしてこいびとたちのむつみごと
                  もしかしたら、いきをひそめてみみをすませば、きこえるのかもしれない
                  でも、それもわたしのききたいものではない

                  まちなかで、群衆のなかでききとれないのだとしたら
                  それは自然のなかにひびくのであろうか

                  わたしたちのなりわいがそれを極端に誇張したものだとしたら
                  きっとそれはちがう
                  かぜのおとも、みずのおとも、ひそやかな生命のいとなみも

                  ここをはなれてとおくへたびだち、そこでようやくそれがきこえるのかもしれない
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                  詩『睡魔:The Sandman Comes』

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                    些事におわれていればまず、あらわれることはない
                    くるとすれば、一瞬のきのゆるみというやつ、そのときだ

                    ちょっとめをつぶる
                    すこしやすませて
                    ごふんだけ

                    誘惑のことばはいつもそう
                    そしてそののちには悔悛や後悔だけがわたしをまっている

                    このときほどうらめしいときはない
                    このときほどうらやましいときはない

                    なぜあのおんなは100年もねていられたのだ
                    しかもねむりからめざめればもうひとつの夢がそこにまっている

                    さっきとおなじ すこしもかわらないいまがここにある
                    時間だけが無情にすぎている
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                    詩『錠前:A Key And A Lock』

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                      その娘はうつむいてたったひとつのことに熱中している
                      母も父も、先生もおかまいなしだ
                      もちろん、わたしという存在もめにはいらない
                      そうして、ひとつことがおわるたびにつぎのこと、それだけにせいをだす

                      ひとつのかぎあなにはひとつのかぎ
                      だけれどもときに、そのいずれかがうしなわれる
                      そのどちらもない場合もあるだろうって?
                      ならば、はなっから問題も課題もしょうじない

                      わたしはさっきからずっとその娘だけをみつめて
                      その娘だけをかんがえている
                      もしかしたら、彼女よりも重症なのかもしれない
                      しかし、だれもそれをとがめない

                      ひとつのかぎはひとつのかぎあなのため
                      だからといってそれですべてが解決するとはかぎらない
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