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詩『5月に憂鬱:Melancholy In May』

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    この春にであったひともいまは毎日のようにあう
    この春にはじめようとおもったことは結局おもったままだ
    かわることとかわらないこと それがはっきりとわかるのがいまだ

    はれたらはれたでさつきばれとよび
    ふったらふったでさみだれとよぶ
    いったい、なにをいとしくおもっているのか
    それともそんな些事にだけかまけていたいのか

    そろそろそれはかたちをなすべきときであり
    そろそろそれは成否がわかるそのときだとしたら
    右顧左眄したそのうえで右往左往するばかりなのだ
    よのなかはきっとそう おそらくそれでせいいっぱい

    それではわたしはそれをただ傍観していればいいのだろうか
    それだからわたしはそれに翻弄されてしまうばかりなのだろうか

    そんな生活は かたすみですこしづつすこしづつ おぼろげながらにあきらかになっていくのだ
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    詩『ふりむいたわたし:Turning My Face』

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      だれかにさいなまされている
      いわれのない みにおぼえのない
      しかもとりかえしがつかないことを
      それもゆめのなかで

      めざめてみてようやくそれにきづく
      ただ そのときの不快 そのときの不安 そのときの不信は
      けっしてぬぐいとることができない
      もしもふたたびであえるのならば けっしてただではすまない

      だがその感情のほこさきがさだまらない
      だれかとはいったいだれだ

      あいつだ あいつだ あいつにちがいない

      そうおもいこんでかけよったその人物がふりむけば
      きっとそいつも おなじかおをしている
      おびえきって ひるんだ その表情も
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      詩『クレヨン:Crayon』

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        とげとげしたなにか
        ぐしゃぐしゃしたなにか
        まるといえばまるだし さんかくといえばさんかくだ

        おえかきちょうとクレヨン12色
        さっきからそのこはそれにかかりっきりなのだ

        ふっとかおをあげたしゅんかんをみはからって
        そのこにたずねる
        それはなあに

        かえってくるこたえはちっともまとをいていない
        きいろいとげとげしたものがどっかんだとしても
        あおくてゆがんだしかくがぶうぶうだとしても

        いくつもはてなまあくをうかべていると
        そのこはわたしをいちべつし
        12色のなかのひといろをにぎるのである

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        詩『ドアーズ:The Doors』

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          そのひとに抱擁されて陶然とむけるまなざしのむこうにはとびらがあった

          そのとびらがひらき、そのむこうにまたとびらがみえる
          そしてみえるやいなやそのとびらがまたひらく
          つぎからつぎへとむこうへむこうへととびらがひらかれていくのだ

          そのひとのおもいをかんじながらふと、わたしはぎゃくではないかとおもう
          ひらかれたとびらはつぎからつぎへととじていく
          そしてふたりだけになる ふたりっきりとなる そうあるべきではないだろうか

          多角形のなにもないこのへやの各辺にそれぞれ とびらがひとつもうけられている
          わたしの視野にはないそれらのとびらもきっとひらかれているのだろう
          それとも、ひらかれていくとびらは、めにうつるあれらだけなのだろうか
          とびらのいざなうそのさきにはなにがまっているのだろう
          それとも、むこうのそのさきからなにものがあらわれるのだろう

          そんな不安がよぎるともういけない そのひとの行為にも不信をいだく
          わたしはただいだかれるがまま ただそれだけをのぞんでいるのに
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          詩『むらさき:Purple』

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            二心のはな
            くろくもそまる
            しかし、純潔をほこることはないだろう
            すくなくとも、そんないさぎよさだけはみとめてもよい

            激情も冷酷もそこにある
            しずかだ なぜならそれは色彩だから
            かたるにおちる そんな不手際さえもしないだろう

            かぜも あめも そして陽のいろにも
            あせることも そまることも ありえない
            なぜなら そこでさいているのだから

            わたしのなかにある あさましさを そのはなにみとめ
            そのはなのように ほこらしげになることもできない
            おのれの中途半端さばかりがみにしみる

            そのはなからけっしてその色彩をしぼりだせないように
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            詩『なでる:Touch It』

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              りょうのひとみをとじても あかりをかんじる
              でもそれであなたがいることにはならない

              おずおずとさしだして ああ そこはどこだろう
              ぬくもりと きめと このなだらかなきょくめん

              これがあなたなのだろうか
              これをあなたとおもうのだろうか

              これはわかる 虚無のいりぐちはあなたのくちびる
              まねいているのはけっして わたしのゆびさきではない

              むね さこつ おとがい みみたぶ
              そのひとつひとつをあらたに命名し
              それではじめてあなたはうまれる

              かれらはうそつきだ
              いにしえのおしえにさからい
              あなたはうまれる
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              詩『ぬるいみず:Water Tepid』

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                ずっとこのままだった
                みずのなかのぼく
                肢体はさっきからうごくことをやめ
                ただそこにあるだけなのだ

                感覚はある
                だからここにいることはわかる
                だがここがどこだかわからない

                時がとまったようだ そういえばいいのか
                きっとだれもが納得してくれる
                そして夢の醒めるのをまてばいい

                いつか陽がのぼるかもしれない
                いつか月がみちるかもしれない
                だがそれをぼくがみるときはくるのだろうか

                いま、ゆっくりとながれはじめる
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                詩『蒲公英:Of Dandelion』

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                  そのはなをしったのはずいぶんむかしです
                  なだらかな斜面にこしかけたときのことです
                  視線のむこうにはみどりがひろがり、そのしたがうすあおくそまっていたのできっと、河原かどこかだったのでしょう
                  そんなのどかなはるの景色にあいたわたしのあしもとにさいていたのです

                  ひゅるんとのびたくきのさきはきいろくそまり、とげとげしい葉は地面をはっています
                  だからおはなつみには最適なのです みなはあちらこちらの光景を堪能していたのに
                  わたしひとり地面をみつめてきいろいはなばなをつんでいました

                  それをみとめたおとながわたしのめのまえにしろいかたまりをさしだします
                  そしてひといき 結果はみなさんご承知のとおりです
                  そのひとのいきにとばされて綿毛のひとつひとつがまうのです

                  わたしは関心がきいろいはなばなからわたげのかたまりへとうつります
                  なぜならば、ふきとばされればそれをおうことはけっしてかなわないからです
                  ゆっくりとゆうがにまうそれに翻弄されることもかなわないのです

                  きいろいはなばなとわたげのかたまりがじつはおなじものだとしったのはもっともっとのちのことになります
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                  詩『病床異夢:Sleeping In The Sickbed With Different Dreams』

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                    SAに

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                    詩『時計:A Clock』

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                      律儀なそれはしんずるのにあたいするのだろうか
                      正確さをもって任ずるそれを信頼するいわれはどこにあるのだろうか

                      まっしょうじきな仕事ぶりは、馬鹿正直をとおりこして冷酷だ
                      しかもあたえられたことしかしない

                      そんな部下、そんな上司、もしくはそんな同僚(友人や恋人の場合はさておいて)
                      ちょっといやだよね

                      いや、もうごめんこうむりたいのだ

                      ふたりのあいだにどんなちから関係があろうとも
                      わたしは隠忍侍従するしかない
                      だってそれしかできないのだから そいつは

                      どんな権力者であっても こいつだけを支配することはできない
                      それはそのむかし 信仰のよすがであると同時に 救済でもあった
                      でもいまはちがう いまはね

                      それだから わたしはなりひびくベルをとめる 愛想づかしのそのかわりに
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